第29章 停戦協定※
「ん、ふぁ…、…っ、あっ…、い、痛い、よ!天元…!」
「…我慢しろ。」
宇髄さんの声は私を冷たく突き放すよう。
辛辣な態度は悲しいけど、彼もまたつらそうな顔をしているのが分かるとどうしたらいいのかも分からなくなっていた。
先ほどまで溶けてなくなりそうなほど甘い時間が流れていたと言うのに今は真冬に雪で体を覆われたかのようで凍えそうだ。
首筋から始まったそれは全身に及び、いまは肩に噛みつかれている。肩口を吸っているかと思いきや、歯を立てられてガリっと噛まれたのは数秒前。
思わず声を上げてもやめてくれない宇髄さんに黙って耐えるしかない。
「天元…!お願い…、痛いのはやだよ…。」
「…俺のが痛ぇわ。馬鹿ほの花。」
絞り出すような声で呟いてくれても、理由は分からない。馬鹿と言われても仕方ないと思う。
恋人の地雷もわからず、傷つけてしまったのなら謝りたい。
でも、痛いのは嫌だ。それはただ今の状態を悪化させるだけだ。
「分からなくて、ごめん、ね?でも…痛いと、天元のこと心の中で責めちゃう…!私が悪いっていうのは分かった。だから、ちゃんと謝りたい、教えて…?」
「……それなら…気持ち良くしてやるよ。」
「へ…?」
後ろを向かされて中途半端に脱がされていた着物を剥ぎ取られると勢いよく秘所に吸い付かれた。
今の今まで私に与えられていたのは痛みと快感が半々のようなもの。
しかし、そこを舐められるということは私にとっては快感以外の何者でもないのだ。
「っひ、や、あああああっ!!!や、ぁ、ちゃ、ああッッッ!!」
もちろん急にそんなことをされたら待っているのは絶頂のみ。
突然の刺激に呆気なく達してしまった私は力が抜けた体を床に預けて震えている。
それなのに舐めることをやめてくれない宇髄さんに部屋の中には私の声と蜜が溢れているのが丸わかりなじゅる、という淫音のみ。
「は、ぁっ、あっ、や、ぁっ!と、とめ、っ、や!」
「痛いのは嫌なんだろ?それなら気持ち良くしてやるから存分に逝き狂え。見ててやる。」
そんな宇髄さんを見て、体は快感によって震えが止まらないのに、心は彼の怒りの理由も分からない恐怖で震えが止まらなかった。