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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第28章 無欲と深愛※





「ほの花さん!紅ありがとうございました!すごく気に入りました!」


「あ!本当ですか?良かったです。瑠璃さんに選んでもらったんですよ!」


「…え?」


ほの花さんはこちらが目を覆いたくなるほどの酷い仕打ちを受けているのは周知の事実。
仲の良い様子なんて見たこともないのに、買い物から帰ってきたほの花さんがお土産と称して紅をくれた。

凄く可愛い色で嬉しかったけど、まさか瑠璃さんが選んだなんて思いもしなかった。
いつの間にか仲が良くなったのだろうか。
食事中もいつもの辛辣な態度は緩和しているようにも見えた。


「…瑠璃さんと仲良しになったんですか?」


「え?全然ですよ〜…まだそこまでじゃないんですけど…。でも、お話してくれるようになりました!」


「そう、なんですか?」


そう言って笑うほの花さんだけど、天元様がいないのだから油断はできない。


「まきをさん、今日はゆっくり出来ましたか?あとで薬膳茶を瑠璃さんに持っていくのでまきをさんもいりますか?」


「あー、あの苦いやつですね!分かった…!意地悪の仕返しをしてやるつもりなんですか?!それは最高です!あの薬膳茶激苦ですから!」


「あはは!そんなんじゃないですよー!普通に寝付きが良くなるからってだけです。って、まきをさーん?私がいつもみんなに嫌がらせしてるってことですかー?!」


笑っているが、確かに薬膳茶のことを嫌がらせの品のような扱いをしてしまったことで顔を引き攣らせているほの花さんに慌てて弁解する。


「ち、違います!確かにすごい寝つき良くなりますよね!?あはは、はは…で、では、お茶あとでお願いします!」


逃げるようにその場を後にしながら、チラッとほの花さんを見ると首に一筋の汗が目に入る。
確かに暑くなってきたけど、汗をかくほど暑いだろうか?
不思議に思ったが、ほの花さんがこの家で夏を迎えるのは初めてのこと。


ひょっとしたら暑がりだったのかもしれないと大して気にせずに部屋に戻ったが、何故この時もっと深く考えなかったのだろうか。

今考えても申し訳なくて仕方がない。

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