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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第28章 無欲と深愛※





押しつけた小瓶をまさか本当に飲むとは思わなかった。
しかも、半分ずつと言う約束だったのに、全て飲み干した。
何の毒かも分からないのに飲む馬鹿がいるの?
飲んだ後に私は震えが止まらなくなった。


「…あ、あんた、馬鹿なの?」


「瑠璃さんが言ったんです。これで私が生き残ったら認めてくれるんですよね?」


「だとしても…!」


「約束してください。認めてくれると。」


「認めるわ!分かってる…!認めるけど…!」


そう言えば、顔色ひとつ変えずに残っていたお茶を飲み干して台所に向かって行った。
即効性のある毒ではないけど、あんな平然としていられるもの?
常軌を逸したほの花の態度に私は恐怖すら感じた。


自分も飲むと言ったが、私ですら飲むのを躊躇する。毒の耐性が付いてる私ですら。

それなのにあの女は僅かな時間で飲むことを決めて一気に飲み干した。


怖くなった。

あの女がもし死ぬようなことがあれば?
二度と天元のところへ嫁ぐことなんてできない。
それどころか殺される。
分かっていた筈だけど、まさか飲むとは思わなかったのだ。


言いようのない後悔だけが頭を埋め尽くして震えが止まらない。


あれほど憎くて仕方なかったと言うのに、心の底から生きてほしいと願ってしまった。


しかし、ほの花はその後も平気な顔をして家事をしていて、肩透かしを食らった。
まさか…やはり毒に耐性のある体で何ともなかったのか?

だから飲んだのだろうか。
いや、でも…即効性のあるものではないから徐々につらくなるはず。


いくら耐性があるとしてもつらいに越したことはないのだ。
あのほの花の平気そうな状態は説明がつかない。


飲むフリをして捨てた?
いや、それも無理だ。飲んだ後に私と話をしていたし、嚥下するところをこの目で見た。


明日が来るのが怖い。
朝、ほの花が起きて来なかったらどうしよう。
流石にこんなやり方で殺すつもりなんてなかったのに。

嫉妬に駆られて自制が利かなかった。
今更こんなことを言っても遅いのに、解毒剤もない毒を彼女に飲ませて、命乞いなんて出来やしない。

分かってたのに。本当は。
彼女に勝ち目がないことくらい。
あんなに一人の女を溺愛している天元を見たことがなくて悔しかっただけ。

それだけなのに。

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