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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第28章 無欲と深愛※





「…ありがとうございます。でも、それは自分で見つけたいのでやめておきます。」


真っ青な顔をしながらも真っ直ぐこちらを見つめるその瞳は強い意思が宿っていた。
一筋縄にはいかないらしい。

天元の初めての相手というのは本当だ。
彼に抱かれたのはもう何年も前のことだが、最後の切り札として取っておこうと思ったのに、それすら大した効力はない。

ほの花は見かけによらず引き攣らせた顔も自分を律して、笑顔で対応してくる強い女だった。
心をかき乱されていることだろう。

それでも取り乱さないほの花に焦りを感じた。
もう打つ手がないからだ。

此処で取り乱して掴みかかってくれたらわざと怪我でもして此処にいる理由にしてやろうと思ったのに。
何もかもうまくいかない。

本当に思い通りにならない女。


そこまでされてしまえばもう苦肉の策を講じるしかなくなる。
見せしめにしてやるわ。
もう背に腹は変えられない。


「本当にあんたって苛つく女ね。こんなに嫌いな女に出会ったのは初めてよ。」


「………」


何も言わずに困ったような顔をするほの花が私を無言で責めているように感じる。
嫉妬にまみれて本当は私に暴言を吐きたいんでしょう?
それなのに自分を律して、笑顔で対応するこの女に馬鹿にされてる気しかしない。
こうやって何とか引き離そうと必死になってる私をあんたは高みの見物してるんでしょう?
そういうところが腹が立つのよ。

必死になって食らい付いてきてくれた方がまだこんな惨めな想いをすることはなかったのに。
憎悪は膨れ上がり、もう怒りで身体中が震えた。


私は立ち上がると自分の荷物から小瓶を出すとほの花に向かって差し出した。


「…飲みなさいよ。」


「…??これは…?」


「毒薬よ。」


そう。それは毒薬。
何も自害しろと言っているわけではない。

天元のためにどこまで出来るのか。
どれほど天元を愛しているのか。
私に示してみなさいよ。

毒に耐性があったとしても何の毒かも分からないそれを易々と飲むような向こう見ずなことは絶対にしない筈。

これで私の勝ちよ。

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