第28章 無欲と深愛※
「ええ?!それは本当なの?まきを。」
「そうなんです。とりあえず今日は私が休暇を頂きますけど…。瑠璃さんに分かってもらうためとのことなので協力してほしいそうです。」
「お身体は大丈夫なのかしら?少しも休まれていないわよね?」
洗濯を手伝いに行くと言ってほの花さんのところに向かったまきをが早々に帰ってきたことで不思議に思い、聞いてみれば、また私たちに休暇をくれると言う。
以前から定期的にしてくれていることで、ほの花さんは瑠璃さんのことがなくとも予定していたのだと思う。
月に一度は必ずそう言う日を私たちに設けてくれるのだ。
その度に「少なくてごめんなさい」と謝られるのだが、普段から柱である天元様並みに忙しいほの花さん。
働きすぎて過労で倒れたこともあるのだから、心配で仕方ないのに、意外に頑固な彼女は絶対に引いてくれないので甘んじて受け入れている。
「瑠璃さん、どうせ穿った見方しかしないからご機嫌取りで家事してると思うに決まってる!」
まきをの意見は間違いない。
ほの花さんのことのやることなすこと全てに暴言で返しているので、流石の天元様ですら見ていられないと元気がなかったほど。
それなのに彼女は少しも臆することなく、普段通りに過ごした上で、理解を求めるつもりのようだ。休みの日に家事を手伝うことなんて普段のほの花さんなのだから。
「…協力してほしいと言うならそうせざるを得ないわよね。分かったわ。須磨には私から伝えるから。まきをは今日は休んで?」
「うん。そうする。宜しくね。」
昼食の準備のために台所に向かえば、楽しそうに洗濯場で鼻歌混じりに敷布を洗うほの花さんが目に入る。
「ほの花さん。」と声をかけるとにこやかに振り向いてくれる彼女に、暇のお礼を伝えるとわざわざ立ち上がって頭を下げてくれる。
「こちらこそ!いつも家事ありがとうございます!昨日のお料理ちゃんと食べられなくてごめんなさい。」
「それは天元様のせいですからほの花さんはお気になさらず!」
ほの花さんは知れば知るほど好きになる人。瑠璃さんもちゃんと話せば理解してくれる。
そう願わずにはいられなかった。