第28章 無欲と深愛※
「そっかぁ…。でも、本当に何とも思ってない場合はどうしたらいい?その人に暴言吐かれても全然悲しくないんだもん。」
「あははっ!それは音柱様がほの花ちゃんへの愛を態度で示してくれてるからでしょ?でも、もし音柱様がその人に優しくしてたらどう?」
アオイちゃんは優しく諭すようにそう問いかけるので、少しだけ想像してみる。
もし、宇髄さんが瑠璃さんに対して凄く優しくしてて、私への溢れんばかりの愛を心に秘める性格なら?
私に暴言吐いていても怒らずに、瑠璃さんを諭すように話すかもしれない。
傷つかないようにみんなのいるところではなく、二人でこっそりと話し合うかも。
私のことを結局、どう思ってくれているのか分からなければ、身の振り方もわからなくて悩むかもしれない。
そうだ、今の私のこの穏やかな心情は全て宇髄さんのおかげなんだ。
だから何を言われても痛くも痒くもなくて平気なんだ。
「…優しく、してほしくない…。」
「でしょ?ほの花ちゃんは当たり前に愛を与えられすぎて音柱様に甘えてるんじゃない?だからもっと音柱様にほの花ちゃんからも愛を伝えた方がいいよ。きっと喜ぶよ〜。」
「…アオイちゃんって…恋愛の達人なの?!すごい…!そうかもしれない…。ありがとう。そうする…。」
「フフン」と得意げに鼻を摩っているアオイちゃんがまるで神様かのように崇め奉るとカナヲちゃんと笑い合う。
本当にその通りだ。
彼の愛をありがたいと思っていたのは間違いないのにそれに胡座をかくあまりに自分自身が宇髄さんに愛を伝えるのを忘れていた。
怒ってくれて有り難い。
守ってくれてると言うことだから。
だったら私も同じくらい彼に愛を伝えなければ全然釣り合っていない。
女の子特有のおしゃべりは兎に角時間の経ち方が異常に早く感じる。
あっという間にもう四時だ。
日が長くなったとはいえ、あまり遅くなると宇髄さんにまた心配をかける。
「あ、もうこんな時間…!ごめんね、今日は慰労会を開いてくれるらしくて…もう帰らないと…。また来るね!」
今日から暫く暇が貰えたのだ。
また炭治郎達とも会いたいし、再び出向くことを約束するとお茶の御礼を伝えて蝶屋敷を後にした。