第28章 無欲と深愛※
「でも、やっぱり音柱様も色男ねぇ!容姿が整ってるから女の人に困ることはなさそうね。」
「…そうなんだよねぇ…。」
アオイちゃんの意見は最もで、今回は瑠璃さんが家に押しかけて来たが、町を歩けば彼の容姿は人目を引くし、正直私がいてもいなくても引くて数多だろう。
だから瑠璃さんには申し訳ない言い方になってしまうが、私を排除したところで次なる問題が浮上するのは必至だ。
彼がその女性たちに興味がなくとも、寄ってくる女の人にヤキモキするのは変わらないのではないか?
その度に排除していたらキリがない。
「あ、でも、ほの花ちゃんにしか興味がないからそんなに言い寄られても困るだけよね。」
「あ、あはは…。そうだと良いけど、結局私に嫉妬を向けられても意味がないと言うか…。冷静に考えてみても私だってモヤモヤすることはたまにあるもん。それでもそこは宇髄さんを責めるのもおかしなことだなぁって最近気づいた。」
「その言葉を音柱様にそっくりそのままお返ししたいわ。ふふ。」
含みのある笑いをするアオイちゃんにキョトンと顔を向けるが、カナヲちゃんまで苦笑いをしているので益々首を傾げる。
「え?どういうこと?」
「ほーら、音柱様のがほの花ちゃんに嫉妬向けてる気がするでしょう?」
「あー…あはは。でもね、それはいいの!宇髄さんのは困らないというか…そうやって愛を態度で示してくれるのは嬉しいよ。」
そう。宇髄さんの嫉妬は困ると言うより嬉しいと言うのが勝る。
嫉妬されたところで何にもないのに〜とは思うけど、やはり好きな人にそうやって想われるのは嬉しいんだ。
「えー?だったら音柱様だって嬉しいんじゃないの?そんな…嫉妬向けられても気にしてません〜!みたいな態度取られたらちょっと悲しいんじゃない?」
「えー?そうかなぁ…?悲しんではなかったよ。その女性に怒ってはいたけど…。」
「そんなの言わないだけで「もっと嫉妬しろよ!」って音柱様なら思ってそうだよ?悲しいかどうかは置いといてさ。ほの花ちゃんのその態度が気に入らないと思うかも。」
それは…確かにそうかもしれない。
今朝も笑って取り合わない私に酷く怒っていたのは記憶に新しい。