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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第28章 無欲と深愛※





「今回の任務では本当に四人に世話になって感謝しているよ。正宗達は鬼殺隊ではないのに本当にありがとう。」


「と、とんでもありません!」


産屋敷様は穏やかな口調のまま、まずは正宗達に深々と頭を下げたので、私たちは慌てて彼を制する。
今回の任務は誰が悪いわけでもない。
スペイン風邪の菌のせいだ。
スペイン風邪を罹患したとしても、蔓延してしまったとしても誰かを責めることはできない。無論、産屋敷様とて同じこと。


「産屋敷様、どうぞ顔を上げてください。私たちはできることをしたまでです。」


そう言うと「ありがとう」と言い、漸く頭を上げて微笑んでくれる。
感謝をされるようなことでもないのだが、今回正宗達が来てくれなければ私も大変だった。

そう考えると彼らのためにも素直に受け取るべきかもしれない。


「今回、私だけではどうするのもできませんでした。四人で任務に臨めて良かったです。色々と留守にしている間、薬の件や定期便でお世話になりました。」


「そんなことはいいんだよ。そうそう。これは正宗達にお礼で用意したものだ。鬼殺隊ではないからお給金としては渡せないんだ。これは鬼殺隊当主からの謝礼として受け取ってくれないかな。」


すると、隣にあった風呂敷包を此方に寄せられる。随分と大きなその包の中身がその形から何となくわかってしまうと「んなぁっ?!」と変な声を出してしまったが、後ろにいた正宗達も同じ反応をしていて少しだけ笑えて来た。


「い、いけません…!我々は御礼を頂くためにしたわけでは…!どうぞお納め下さい。」


正宗がそう言って床に頭をめり込ませる勢いで下げると隆元も大進もそれに倣う。
しかし、産屋敷様は笑って取り合ってくれず、今度は私の方を見てそれを寄せて来た。


「それならほの花にあげるから君から振り分けて渡してくれないかな?」


「…えええ?!い、いや、そんな…!彼らには私から御礼をするので産屋敷様はどうか…。」


「ほの花、僕が知らないとでも思ってたのかな?」


含みのある笑みを浮かべると産屋敷様は頭を下げている私たちに少しだけ座ったまま近寄った。
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