第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「はっ…、だから?何が言いたいのよ。お嬢様のことを守りたいならもっとマシな弁解でもしたら?」
そう言って睨みつけてもやはり暖簾に腕押し。
少しも怯まないその男に眉間に皺を寄せる。
「嫁とか恋人とかそんなものに拘らない。宇髄様がいてくれるならそれでいい。もし、自分の恋人にそんなこと思われていたらどう思いますか?」
「は?どうって?」
「私ならば何としてもその女子を娶りたいと思います。恐らく宇髄様もそうなのかと。何物にも捉われず、望まない、慎ましく在ることがほの花様の美学です。だからこそ宇髄様はほの花様を誰よりも大切にしてくださるのです。男としては好きな女子に甘えられたいと言う欲がありますからね。」
要するに嫁だのなんだの言って形に囚われている私は愚の骨頂だと言うことが言いたいのだろう。
どこまでも私を馬鹿にしてくるこの男に拳を握りしめる。
「よーく、分かったわ…。そう言う作戦で天元を手玉に取ったと言うことね。そうやってお嬢様を守るために私を馬鹿にしたことを後悔させてやるわ。」
私は踵を返すと襖を開けて、部屋を出た。
怒りで震えが止まらない。
忍の家系に産まれ、しきたりを守り生きてきただけなのに何故此処まで疎まれなければならないのだ。
あの女の能天気な顔が苛ついて仕方ない。
天元があの女を愛する理由?
そんなことはどうでもいいことだわ。
私が望むのは宇髄家の繁栄だけ。
だからこんなにも必死になっているのにどいつもこいつも二言目にはあの女を庇う。
守られて良い気になって、天元までもを虜にした魅力がある女だと言うことだけは認めよう。
その魅力を存分に発揮して、この家に居座っているのは素晴らしい作戦だ。
同じ女として感服する。
これが色仕掛けによる宇髄家の乗っ取りということならば、私が全力で止める。
命をも賭ける覚悟で。
だからあの女にも多少代償を払ってもらわないと我慢ができない。
ずんずんと怒りに任せて足音をさせて部屋に戻るとクナイで打ち付けたまま壁にぶら下がってる膝掛けが目に入った。
それを引っ掴むと思いっきり破ってやる。
私の心の痛みはこんなもんじゃない。
今に思い知らせてやる。