第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
あの女が帰ってきて「話し合いをしましょう」と言うので仕方なく了承をして一週間様子を見ることで合意をしたはいいけど…
「…ちょっと!退きなさいよ!!」
「「「…できません。」」」
終わった瞬間、ほの花と言う女の体を抱き上げて部屋を出て行ってしまった天元の後を追いかけようとすると、護衛官三人に止められた。
「何でよ!早く退きなさいよ!あんた達も殺されたいわけ?!」
「これは瑠璃さんのためでもあります。しばらくは寝室から出てこないかと思いますのでこちらでお待ちください。」
──しばらくは寝室から出てこない
それが何故かなんてことが分からないほど馬鹿ではない。
腑が煮え繰り返りそうになるほどの怒りが込み上げて手を握り締める。
天元があの女に骨抜きにされているのは聞いていたけど、あそこまで怒り狂い、帰ってきた瞬間寝室に篭るほど…?
元々四人も嫁がいたのだから、順番に夜のお勤めを果たすのは分かっていた。
自分だけではない。雛鶴もまきをも須磨もいた。
しかし、天元が誰かを特別扱いしたことはない。全て同じように均等に愛をくれていた。
だからこんなに悔しい思いをしたことがない。
選ばれなかったどころか、あんな風にたった一人を愛し抜くつもりの天元を見たことがなかった。
羨ましい。
喉から手が出るほど羨ましくて仕方ない。
宇髄家の繁栄のために子どもの頃からしきたりを重んじて、天元を支えるために努力してきたと言うのに。
ぽっと出のあんな女に掻っ攫われるなんて雛鶴達も悔しくないのだろうか?そう思い、チラッと三人を見遣るが、さも当たり前かのような表情で呑気に茶を啜っている。
須磨に至っては「天元様に怒られるから大人しくしておいた方がいいですよ〜」と言う始末。
襖の前に立ったまま、私が出られないように見張っている護衛は一歩たりとも動こうとしない。
此処であの二人の蜜事が済むのを大人しく待っていろってこと?
とんだ屈辱だわ。
頭がおかしくなりそうなほどに。
少しずつ少しずつ憎悪の棘が私の心に生えていく。
ほの花を守れば守るほど
愛せば愛すほど
あの女が心の底から嫌いになっていく。