第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
瑠璃さんという方はほの花様がいないと分かればさっさとその場を後にして、六人で取り残されることになった。
呆気に取られている我々と違い、申し訳なさそうに唇をかみしめて涙を浮かべる三人に慌てて駆け寄る。
「留守中に…大変なことがあったんですね。ほの花様のことでご迷惑を…。」
「「「違います!!!」」」
元はと言えばほの花様の存在が気に食わなくてこうなっているのは明白。
とりあえず事の発端を引き起こしたのが自分達の主人だということを謝罪しようとするが、三人が声を揃えて否定をしてくれたので、驚いて一歩後退りした。
「ほの花さんは、悪くないです…!天元様も気に病んでました。」
「そうです!瑠璃さんが酷いこと言ってごめんなさい。」
「そうですよぉー!悪くないです!でも、大進様達帰ってくるのは明日じゃなかったんですかぁ?早く会えて嬉しいですぅー!!」
須磨さんが仲の良い大進目掛けて抱きついているのを横目にこうなった経緯を話すことにした。
本来であればあと一日、刀鍛冶の里にいる予定だったが、鉄珍様や医師の方達の配慮で早く帰れることになったのだ。
「天元様も明日だと思ってますよ。いま、柱合会議に行っていて…。」
「え?柱合会議…?」
この場からいなくなった瑠璃さんがほの花様を襲いにいくかもしれないと少しだけ危惧していたが、それを聞いて安心した。
我々が護衛をするよりもはるかに頼もしい人がいるところに行ったのだから。
「それなら安心ですね。ほの花様も産屋敷様のところへ報告に向かったので。此処で待ちましょう。」
「あら、そうなんですね!確かにそれなら安心です。あの方が一番心配していますので。ふふ。」
面白そうに笑う雛鶴さんは先程の引き攣った顔ではなく、いつもの可愛い笑顔を見せてくれる。
此処に来て半年。
悲しみが徐々に癒えてきたのはこの三人の元奥様達が我々に優しく寄り添ってくれたからだろう。
此処は宇髄様の屋敷だが、彼が我々のことも家族のように接してくれるのでいつの間にか居心地の良い空間となっていた。
そんな場所に巡り会えたのもまた奇跡のような出来事。
俺はもう一度彼女に向き合うと「ただいま戻りました。」と言って頭を下げた。
そうすればまたこぼれ落ちるような笑顔を向けてくれるのだ。