第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
ほの花様の護衛と救護の手伝いも兼ねて任務に同行したのは鬼殺隊に入ってから初めてのことだった。
一年程前にも同じように四人で全国津々浦々旅をしたが、その時とは緊張感も責任もまるで違う。いつもぽけーっとしているほの花様はこの半年ほどでとても大人っぽくなられたと思う。
何より薬師としてこんな短期間で認められたのは努力の賜物だ。
元々灯里様によって人知れず英才教育を施されていたことが功を奏したのもあるが。
刀鍛冶の里から無事に町に帰還すると、言い知れぬ達成感で胸がいっぱいになる。
本当は少しでも早く宇髄様に会いたいのを我慢して産屋敷様のところに報告に向かうと言うほの花様を見送り、一足先に屋敷に帰ってきた。
しかし、其処で待ち受けていたのは可愛らしい御三方…だけでなく、見知らぬ女性だった。
芯の強そうな勝気な方で、我々が帰ってきたことで雛鶴さん達が取り囲むのを外から鋭い視線で睨みつけてきた。
(…御三方の…ご友人…?ではないか。)
隆元と大進とも顔を見合わせるが、首を傾げるばかりで状況は理解できないままだ。
すると、正体を明かしてくれたのは他でもない睨みつけていたその当人だった。
「…あんた達は誰なの?」
「ああ…申し遅れました。我々はこちらに住まわせてもらっております。ほの花様の元護衛をしておりました正宗と申します。こちらは隆元と大進に御座います。」
「…護衛…?スケコマシ女の?」
す、スケコマシ?!あのほの花様をスケコマシ呼ばわりするということは過去の出来事も全く知らない人なのだろう。
しかも、随分と辛辣な物言いだ。
再び隆元と大進と視線を絡ませると首を傾げるが、困ったようにオロオロとしている雛鶴さん達の様子に何かこの家で良からぬことが起こっていることは明白だった。
「えー…ほの花様のことですか?」
「そうよ。天元のことを寝取った泥棒猫。あんた達、そんな女の護衛官だったの?勿体無いわ。良い男なのに。」
「はぁ。それで…あなたは?」
「私は天元の嫁よ。」
やはりとても良からぬことだった。
これでは雛鶴さん達のあの表情も納得できる。
自信満々にそう答える瑠璃さんという女性が台風の目として宇髄家が振り回されているのだと悟った。