第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
──抱かれたのは天元だけだよ──
そんなことは当たり前だ。
恋人がそばに居ないからといって他の男に抱かれるような不貞をしたと言うのであれば瑠璃の言う通り阿婆擦れに違いない。
しかし、他の男に抱かれたのであればほの花ならのこのこと此処に帰ってくることはできない。それほどまでに義理堅く、身持ちが固い。
だからこそほの花一人に決めたし、ほの花以外欲しくないと心底思うのだ。
話を聞こうにも自分の屹立は硬く滾り、目の前の久しぶりの獲物を見て涎を垂らして待ち侘びている。
俺はほの花の唇を再び奪うと、彼女の体を撫で回しながら耳元で尋問する。
「…男と口づけでもしたか。」
言葉にしただけでも嫉妬で体が震えてくる。それほどまでに憤る内容。
そんな俺の様子を見ても困ったように視線を一瞬だけ逸らすが、すぐに目を合わせた。
「…温泉で…、のぼせて倒れちゃって…。水没死しそうになったところを…刀鍛冶の人に助けてもらったの。だから…人工呼吸と言う名の物と素っ裸を見られました。ごめんなさい。」
「……は?…それだけ?」
「…それだけって…!体を見られて、口づけ…じゃないけど…男の人に裸見られちゃったんだよ?」
「でも、そのおかげでお前助かったんだろ?生きててよかった。突然、水没死しかけてたなんて衝撃的な事実をサラッと言うなよな!?体は?何ともないのか?後遺症とかねぇの?大丈夫か?!」
手紙にだってそんなこと一言も書かれていなかった。そばにいないのだから知らないのは仕方ない。
でも、そんなことがあったなんて無事だったから良いものをそのまま死んでたかもしれないのだ。考えるだけでも恐ろしい。
素っ裸を見られたのは些か腹立たしいが、温泉ならば仕方ないだろう。
何が懺悔だ。助かってよかったと言うのに嫉妬にまみれた自分が馬鹿みたいだ。
そう思ってほの花を見ると大きな目から涙が溢れていて、面喰らった。
「…ど、どうした?泣くなって…。言い方がキツかったか?」
泣くようなことをしたのかと必死に自分の発言を省みるがいくら考えてもわからない。
綺麗な涙を舐めとって、頭を撫でてやることくらいしか出来ないが、必死にほの花を慰めた。