第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「そうよ?そんな女打たれて当然よ。この泥棒猫。天元を誑かすなんてとんだスケコマシね。」
「ああ?!テメェ、んだと?コラァ!誰の女を侮辱したと思ってんだ。派手にぶっ殺す。」
目の前で繰り広げられる舌戦を私は見守ることしかできずにいる。
ぶたれた頬はじんじんと痛むが、大怪我をしたわけでもないし、こんなもの怪我のうちにもはいらない。
それよりも女の子にぶたれたことが新鮮で目が覚める想いだった。どちらかと言うと背の高い私は女の子には好かれることが多かったのでこんな風に目の敵にされてぶたれるなんて夢にも思わなかった。
「あ、あの…取り敢えず落ち着いて?中に入りま…せんか?」
「あんたは出て行きなさいよ。このアバズレ。」
「テメェが出て行けっつーの!!俺のほの花に何つー口聞いてんだ!ふざけんなよ?!」
駄目だ…。
今のこの二人を諌めるにはどうしたら良いのか皆目見当もつかない。
玄関先が騒がしいからか、中から雛鶴さん達がぞろぞろと出てきた。そこにはもちろん正宗達もいて、この惨状を見て顔を引き攣らせている。
しかし、久しぶりに見た雛鶴さん達に嬉しくなった私は手を振って再会を喜んでいたら、隣にいた宇髄さんがジト目でこちらを見てきた。
「…お前、この状況でよくニコニコしていられるなぁ…?部屋に連れ込んでぶち込むぞ…。」
「え…?!や、ご、ごめんなさい。だって雛鶴さん達と久しぶりに会ったんだもん!」
「そうやって雛鶴達をも手玉にとって、この屋敷に入り込んだあんたはなかなかの策士ね。今に化けの皮を剥いでやるわ。」
あまりの敵意の剥き出し加減に怒りも悲しみも湧いてこない。
いま、彼女に一言でも物申すものなら倍どころか何百倍にも返ってきてその度に宇髄さんが怒り狂い、収拾がつかなくなるだろう。
今も尚、瑠璃さんに掴みかかろうとしている宇髄さんを何とか窘めると玄関に向かって押し込んでいく。
「瑠璃さん…でしたよね?取り敢えず中に入りましょう?宇髄さんも。此処ではご近所の目もありますし。」
「自分の家でもないのに我が物顔ね。淫乱女。」
もうどうにでもしてください…。
笑うしかない私は苦笑いを返すがそれすらニヤニヤして気持ち悪い女と言われて完全にお手上げ状態だ。