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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※




油断するなと言ったくせに、油断したのは自分だ。
物陰から居間、ほの花の部屋と見回ってみたが、そこに瑠璃の姿が無かったことに不思議に思った。一瞬、出て行ったのか?とよぎったことは自分の不甲斐なさを露呈したにすぎない。
何もせずに出て行くくらいならば、こんなに家に棲みつくことなどしない。

忘れていたが、アイツも忍び一族なのだ。
気配を消すことくらいできると言うのに完全に失念していた。


おかしいと思い始めた時に澱んだ気を察知したのが家の中ではなく、玄関先で全身から血の気が引く想いでそちらに向かって走り出した。


ほの花

ほの花…!

ほの花…!!


アイツだって鬼殺隊の一員だ。俺の継子でもあるのだから瑠璃に対抗できないわけがない。
何なら瑠璃よりもはるかに強いだろう。

それなのにこれ程までに焦ってしまうのは彼女を傷つけまいと決意した矢先のことだからだ。

どれほどの憎悪がほの花に向けられていたかこの時初めて実感した。
俊足を持ってしても数秒間に合わずにほの花の体が塀に叩きつけられたところで到着してしまった。何故あと数秒早く来なかったのだ。

悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。


慌ててほの花の前に跪いて彼女の顔を見ると真っ赤になった頬が瑠璃にぶたれたのだと言うことを物語っていて激しい怒りに襲われた。


「…テメェ、ぶっ殺す…!」


「ちょ、…!て、…う、宇髄さん!ちょっと待って!大丈夫だから!私が驚いて倒れただけ!」


「ンなわけねぇだろ!!嘘つくな!」


瑠璃に掴みかかろうとする俺を腰に引っ付いて止めるほの花。
しかも、こんな状況なのに体裁を重んじて"宇髄さん"と呼ぶほの花にも腹が立つ。そこは"天元"って呼べよな。そんなこと今更言ったところで後の祭りだが。
それにしても真っ赤な手形がついた頬をどう見たら驚いて倒れたなのだ?
馬鹿な言い訳にも程がある。
庇う必要があるわけがない。




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