第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
宇髄さんの元奥様は雛鶴さん、まきをさん、須磨さんの三人。
でも、もう一人いたということらしい。
四人も許嫁がいたなんて、忍びの世界は全然詳しくないし、事情も分からないから是も非もないが、大変な世界なのだなぁ…とぼんやりと感じた。
でも、気になることは事前に聞いておいた方がいいだろうと思い、宇髄さんの手を引っ張る。
「聞いて良い?」
「ん?ああ。」
「あの…何で四人目の人だけ連れて来なかったのかなぁ…って。言いたくないことなら言わなくていいからね。」
聞いておきながら途中で宇髄さんの昔のことに首を突っ込むことが良いのか分からなくなってしまった。
人には話したくないことの一つや二つあるし、私も彼には珠世さんのことやらを言えていないのだからわざわざ聞かずとも言われた通り会えばいいのだ。その…四人目の人と。
でも、質問をした私の頭を優しく撫でてくれると前を向くと蝶屋敷を後にする。
歩きながら話してくれるつもりなのだろう。
宇髄さんは歩みを止めずに真っ直ぐ前を向いて話し出す。
「アイツは…名前は瑠璃っつーんだけど、俺の父親の考え方とそっくりでよ。宇髄家繁栄のために…より強い子どもを残すためには手段を選ばないって考えでよ。それが理解できない俺のことも…考え方を改めさせようとしてきたからさ、それなら利害不一致ってことで断ったんだよ。お前は嫁にできないってさ。」
宇髄さんはお父様の考え方が理解できずに里を出たと聞いていたから、それならば言っていることは理解できた。
でも…きっと納得できていたのは…宇髄さんたちだけだったと言うことかな…?
「…それが納得できなくて…宇髄さんに会いに来たってこと?」
「そゆこと。四人目の嫁にしろって。だからもうアイツらは嫁じゃなくて、俺には婚約者がいるって話したら会わせろって聞くかなくてよ。一週間も帰らねぇんだわ。」
全く知らない人だけど、瑠璃さんと言う人が怒るのも無理はないかもしれない。
一人だけ置いて行かれて、やっとのこと探し出したと思ったら想い人は嫁ではなく別の女を婚約者としていたと知った時の絶望は…
他人事ながら考えただけで計り知れないと思った。