第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
ほの花の温もりと匂いに酔いしれるように夢中になって抱きしめていると、そういや正宗たちは先に帰ったと言っていたなぁ…なんてぼんやりと考えたところで俺の意識は急に覚醒して大事なことを思い出した。
何故忘れてたんだ?と聞かれたら簡単なこと。
アイツよりもほの花の方がはるかに優先順位が高いからだ。
コイツがいればコイツのことしか考えられないのは当たり前のこと。
いなくてもぼーっとしてりゃコイツのことしか考えられないほど愛してると言うのに。
(…やべぇ…。完全に瑠璃のこと忘れてた…。正宗たちは大丈夫か?)
瑠璃のことだ。
正宗たちがほの花側の人間だと知れば酷い扱いをするかもしれない。
彼らは男だし、当事者ではないからそこまで気にしなくてもいいかもしれないが、家族には変わりないのだから。迷惑かける前に一言俺から詫びを入れておきたかった。
慌ててほの花に頭を下げて先に謝るが、もちろん何のことやら?でキョトンとしている彼女。
こんなことを言わないといけないなんて、本当に身の振り方を間違えたと言わざるを得ない。
過去の自分がいたら四人とも……は無理だな。
やはり瑠璃は無理だった。
いくら考えても瑠璃は許嫁だとは言え、いずれ断っていたように思う。
「て、天元…?顔を上げて?どうしたの?」
頭を下げ続ける俺に見兼ねてほの花が起きあがらせてくれる。
だが、ほの花の顔を見ることも忍びない。
「…ほの花。お前に迷惑をかけることになる。それでもそばにいてくれるか?」
「?うん。もちろん。何でそんなこと聞くの?何があったの?」
真っ直ぐに曇りのない目で見つめられるとたまらず抱きしめた。
ほの花を搔き抱くことは自分の精神安定に繋がると脳も体も分かっているのだ。
言い淀んだとて、言わなければ始まらない。
俺はほの花を抱きしめたまま、ゆっくりと話をする。
「俺の…元許嫁が訪ねてきて、お前に会わせろって言うんだ。つらい想いをさせるかもしれねぇ。だけど、俺はお前だけだ。信じて欲しい。それでも一緒に帰ってくれるか?」
傷つけたくないし、胡蝶の家で預かってもらうのも一つの手か…と思い始めていたが、体を離したほの花の顔は何故か笑顔で俺は肩透かしを喰らう羽目になった。