第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
途中まで胡蝶と一緒に蝶屋敷に向かっていたのだが、そこにほの花がいるのだと考えただけでそのゆっくりな歩みがあまりにじれったくなってしまった。
身体中がほの花を求めすぎていて鳥肌が立っている。
「なぁ、ごめん。ちょっと先行くわ。」
「はい?!ちょ、っ…?宇髄さん?!」
胡蝶の声を背中で受け止めながら俺は全力疾走で蝶屋敷に向かう。主人のいない場所に主人を置いて向かっている俺は明らかにおかしなことをしているのは分かっている。
それでも止まらなかった。
お館様の屋敷から最高速度で蝶屋敷に向かうと、よく見る女が対応してくれて客間に案内された。
「音柱様、ほの花ちゃんは今まだ怪我をしている人の応急処置をしているのでこちらでお待ちください。いま様子を見て来ます。」
「おー。頼むわ。」
あまりに会いたすぎて早く着いてしまったが、まだほの花は応急処置すら終わっていなかったようで待ちぼうけをすることになるとは思わなかった。
仕方なく客間で座り込み待たせてもらうことにしたが、俺がまだ会えてすらいないと言うのにほの花は、いま他の男の体に触れてるかと思うと腹が立って仕方ない。
帰ってきたら一番最初に抱きしめて、触れて、口づけようと思っていたのに。
全てをあの鬼を連れた竈門炭治郎というやつに掻っ攫われて酷く虫の居所が悪い。
早く
早く
早く会いたい。
最早、座ってることすらできずに立ち上がると今の中を行ったり来たりする。
たった五分程度の時間がまるで何時間にも思えるほど長く感じたが、外から聴き覚えのある足音が聴こえると胸がドクンと高鳴った。
やっと…
やっと会える。
そう思い、襖まで向かうと少しだけ開かれたそれをこちらから勢いよく開け放ち、見知った白くて柔らかい手を引き寄せて腕の中に閉じ込めた。
そのまま襖を後ろ手で閉めると、言葉も発さずにほの花の顎を持ち上げてそのまま口付けた。
どれほど待ち侘びた感触か。
俺は夢中でほの花の唇を貪った。此処が何処かも忘れて、何度も何度も唇を喰み、角度を変えて口付けた。
離れていた時間を埋めるようにほの花を抱きしめながらするその行為だが、少しも嫌がらない彼女に甘えて気がすむまで口づけに没頭してしまった。