第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
俺ですら善逸の雄叫びを耳を塞ぎながら聞いていたと言うのに、苦笑いを浮かべながらも彼の話を聞いてくれているほの花は本当に忍耐強いと思う。
「善逸、やめろよ…!ほの花が困ってるだろ?」
「炭治郎ーーー!!お前と言う男は本当に!禰󠄀豆子ちゃんの兄というだけでも羨ましいと言うのにほの花だって?!馴れ馴れしいにも程があるぞ!!!誰が呼び捨てにしていいと言った!?羨ましい!羨ましいけども!!!」
血走った目玉をひん剥いて指を差して俺をここぞとばかりに罵る善逸はいつもの善逸だ。
怪我をしたみたいで心配していたが、どうやら心配なさそうだ。
「ほの花がそう呼んでいいって最終選別の時に言ってくれたんだ。俺が勝手に呼んだわけじゃないよ。」
「なぁあにぃぃぃっっ?!お、おま、お前!!あの最終選別の時に既に彼女とお話してただと?!俺があまりに可愛くて、声もかけられなかったというのにぃいいっっ!!万死に値する!!一度死ね!!!あんな怖い試験の時によく女の子にうつつ抜かしていられたなぁああっ?!」
「ほの花って呼びたいなら今、本人にそう言えばいいだろ?何をそんなに怒ることがあるんだよ。また煩いと怒られるぞ?」
あまりに煩い善逸に苦言を呈するとギロリと睨まれて身体中をワナワナと震わせている。
しかし、そんな俺たちのやりとりを見て隣にいたほの花が見兼ねて話に入ってきてくれた。
「あ、あの…じゃあ、私も善逸って呼ぶね!ほの花でいいよ。宜しくね、善逸!そちらの子は伊之助でいいかな?」
隣のベッドに寝ていた伊之助まで声をかけてくれたが、元気のない伊之助は「イイヨ…」と小さく答えただけ。
それでも決して二人を邪険にしないほの花にこの後再び善逸の雄叫びが屋敷中に響き渡ってアオイさんという女の子にめちゃくちゃ怒られる羽目になった。
元気なのは良いことだけど、善逸の女の子への執着心には困ったものだ。
ほの花が優しくて良かったと心底思った。