第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
善逸と呼ばれた人のベッド傍を見ると見たことのある瓶が置いてあって、私の背中に汗が伝った。
それは私が作った薬のような気がしないでもない。しのぶさんの調合を元に少しだけ母の調合も混ぜて作った独自の解毒剤。
私の薬は基本苦いことを自負しているが、それも苦い。とても苦い。
要するにあの薬が苦いことで彼は騒いでいたのだろう。
申し訳なさで少しだけ小さくなるが、「あーーーー!?!?!?」と言うまたもや大きな声が聞こえて前を見ると、その黄色の頭の少年とばっちり目が合ってしまった。
「んな、っな、な、な、た、炭治郎…?何だよ、誰だよ…!その美女は…!!何なの?!え、まさか俺がこんなに苦しんでたのに自分は女の子と遊んでたっていうのか?!わーわーわーわーわー。お前だけずるいな!もうずるさを越えて卑怯だな!俺にも紹介しろよぉ!紹介してくれよぉぉおおおおっ!女の子と仲良くしたいんだよぉぉぉぉぉっ!」
…どうやら物凄くいろいろ忙しい人みたいだ。
困惑しながらも後ろを振り向いた炭治郎に私は一息吐いて前へ歩み出た。
「え、と…こんにちは。あれ…?よく見たら…最終選別で会わなかった…?私、神楽ほの花です。確かに自己紹介はまだだったね。宜しくね。えと、善逸くんでいいかな?」
前に歩み出たことで彼の顔を全て見ることができて気付いたが、見たことがある顔だった。
記憶を手繰り寄せると、遡ること半年前の最終選別だと気付き、そう聞いてみたのに固まってしまい、全く反応がない。
どうしたもんか…と炭治郎の方を見るとまたもや発狂したかのように大きな声で叫び出した善逸くんに二人で肩を震わせた。
「ええええええええ?!て、天使?!こ、声も可愛いぃいいいっっ!!えええええ!!しかも、俺に今笑いかけてくれた?!結婚!?結婚だよね…?!ありがとううううっ!一生幸せにするよー!!こんな天使と結婚できるなんて俺、蜘蛛になりかけたから天の思し召しだよね?!ありがとう!神様ァアアアっ!!生きててよかったぁあああっ!!!」
よく息継ぎもなしにそんなに言葉を並べ立てることができるなぁと言うほど圧倒的な言葉数で話しきった善逸くんに私は内容はともかくとして感心してしまった。