第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「宇髄さん、顔怖いですよ。」
柱合会議が終わるや否や声をかけてきた胡蝶に俺はジト目で見遣る。
正直言って、会議どころではなかった胸の内だ。
久しぶりに会った愛おしい恋人は変わらぬ美しさを保っていて、何なら一ヶ月見ないだけで艶かしい色気まで感じるようになった。
それは自分が禁欲生活を送っていたがためにほの花のことをそういう目で見てしまったからなのか。
「…うるせぇわ。苛つくんだわ、あの糞餓鬼…!」
「お前が怒ってんのはどうせほの花だろうがァ。それより鬼畜生を連れて歩いてることのが遥かに腹が立つだろうがァ!」
「それはそれで問題だっつーことは分かってっけど!こちとら派手にほの花不足な上にあの餓鬼、俺より先にほの花に話しかけて、アイツに触れたんだぞ?!ぶち殺したいのを必死で収めた俺を派手に褒め称えろ!!」
本気で目の前にいる二人が俺の方を見て顔を引き攣らせているが、そんなことは関係ない。
会いたくて会いたくてたまらなかったほの花なのだ。
そうやって思うのも仕方ないだろうが。
「ま、まぁ…とりあえず行きましょう。ほの花さんが待ってると思いますよ。」
「あー、ほの花に宜しく伝えてくれェ。近い内に慰労会でもしてやろうぜ。」
不死川が先ほどとは打って変わってそんなことを言い出すので、鬼が絡んでなければ気のいい弟分なのだと思い直す。
まぁ、コイツはコイツで鬼に家族を奪われているのだから仕方あるまい。
「おー。分かった。ほの花に伝えとくわ。じゃ、行こうぜ。胡蝶。」
お館様の配慮で暫くほの花は暇をもらえることになったので、ゆっくりできるだろう。
たまには家でのんびりと過ごしてもらうのも悪くない。
大変な場所で任務を終えて帰宅したのだ。愛を確かめ合う前に労うのが先だろう。
しかし、その時うっかり失念していた出来事が急に頭をよぎる。
そうだ。
のんびりと過ごしてほしいのは山々だが、家には飛びっきりの鬼畜生のような元許嫁がいるのを忘れていた。
しかも、正宗たちは先に帰したと言っていた。
そこまで考えるとほの花に事情を説明したら早いところ帰らないと面倒なことになるだろう。