第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
炭治郎は聞けば何でも臆することなく話してくれる素直な良い子だと言うのは間違いない。
妹想いの優しい子なのだろう。
鬼になった経緯も聞くと快く話してくれて、自分も同じように父が鬼になったので気持ちは分かる。
ただ…私は殺してしまった。
それを引き合いに出してしまうと同じように出来たのだろうか?と思い、少しだけ顔を伏せた。
今更どうしようもないことだが。
「そ、そうなんだね。その木箱の中に入ってるの?確かに鬼の気配がするね。」
「ああ!禰󠄀豆子はほの花と一緒で凄い美人なんだ!あとで紹介するよ!」
「あはは…あ、ありがとう。」
担がれているのに笑顔で話してくれる炭治郎は禰󠄀豆子ちゃんの話をしていると"お兄ちゃん"の顔をしている。最終選別の時は弟みたいだなぁって思ってたけど、こうやって見るとずっと大人っぽく見える。
そんな炭治郎が「そうだ!」と顔を上げると私に向き合った。
「俺もさっき聞きたかったんだけど、ほの花とあの一番派手な柱の人って仲が良いんだね?」
「…え?」
急にそう切り出した炭治郎に驚いたが、私は宇髄さんとあそこで話してはない。ほんの一瞬声を上げただけで会話はしていないのに何故そんなことがわかるのだろうか。
「え、と…何で?」
「あ!あのね、俺、凄い鼻が効くんだけどね。ほの花とあの人から同じような甘い匂いがしたんだ!だから仲が良いのかなって思ったんだけど…あれ、違った…?」
間違えたかもしれない…と顔を硬らせた炭治郎に私は首を振った。
「ううん。音柱の宇髄天元さんは私の師匠なの。久しぶりの再会だったから顔を見られて嬉しかった!ふふ。」
「師匠?!そうなんだ!でも…あの人めちゃくちゃ俺のこと睨んでたけど、凄く大事にされてるんだね…!怒りの匂いがぷんぷんしてたよ。」
あああ、そういうのも分かるんだね?!
やっぱり怒ってたんだ、そうなんだ…!と分かってしまうと私は深いため息を吐く。
どちらにしても怒られるのは関の山だが、炭治郎とは何もないし、ただの同期の鬼殺隊士ってだけなのだと言うことをできるだけ早期に理解してもらいたい。