第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「お館様の話を遮ったら駄目だよ。」
わぁ…、無一郎くんったらあんな男らしいことも出来るんだな。我が弟ながらカッコいい!
顔は可愛いけど、やっぱり男の子だなぁ〜。
隠の人が必死に謝る中、感心して見ていると「早く下がって」と再度忠告をする無一郎くんに少しだけ頭を下げるとひらひらと笑顔で手を振ってくれた。
それでもまだその手前にいる宇髄さんの顔は見れずにいるので私は早々に退出しようとそのまま踵を返した。
しかし、聴こえてきたお館様の声を後頭部で受け取ると私は目を見開くことになる。
「炭治郎、珠世さんに宜しく。」
珠世さん…?
え?…珠世さんって…?
後ろを振り向くが猛烈な速度で隠の人がこちらに向かって走ってきたのでそれに倣い後を追いかけることしかできなくなってしまった。
走りながら考えるのは珠世さんのこと。
産屋敷様は珠世さんを知っている?
それもよろしく…とは?よろしくする必要はないはずだ。
彼女は鬼で、産屋敷様は鬼殺隊の当主。鬼を滅するための組織の当主なのだ。
それなのに何故?
考えは頭の中をぐるぐると回って行く。
目の前には「ちょっと待ってください!!」と叫んでる炭治郎の姿。
いや、炭治郎も…知っているということ?
珠世さんを?何故?
それともあれは私に向かって言ったのだろうか。炭治郎という名前を盾にして。
彼女と密会していたというひた隠しにしていた事実を見抜かれた?
でも、それにしては私に対する態度は寛容だ。
咎めるような空気はなかった。
仮に炭治郎が珠世さんを知っていたとしても同じこと。
産屋敷様の声色は決して咎めるようなものではなかった。
一人で考えていても泥沼にハマるだけだ。明日、直接聞いてみてもいいだろう。
いずれにしても今は聞ける雰囲気ではないし、あそこで話してしまえば隠していた事実を宇髄さんにも知られることになる。
彼は私が隠し事をしていても咎めないし、それによって関係性が変わることはないと言ってくれていたが、それならば私の口から本人に個人的に伝えたい。
そうすることが私たちの関係性上の礼儀だからだ。
(あー…でも、あとで会うの怖いー…。)