第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
慌てて炭治郎の口を塞ぐも時すでに遅しだ。
後ろからは痺れるほどの強い殺気を感じるし、きっと宇髄さんはめちゃくちゃ怒ってる。
折角帰ってきたのにこんな再会の仕方無情すぎる…!!
しかし、炭治郎の怪我の応急処置を仰せつかったのだからそれをするべく彼の口を塞いだまま腕に抱えるとズルズルと引き摺っていく。
「あー…えと、それでは…これにて失礼致します。産屋敷様、明日お薬の調合にも伺いますので…!」
「まだあるから良いんだよ?ゆっくり休んでくれて。」
「い、いえ!長らく診させて頂いておりません故…伺わせてください。」
じりじりと後退しながら話すなんて失礼極まりないと自分でも分かっているが、その場に留まり続ければ背中に穴が開くんじゃないかというほどの鋭い視線に射抜かれている。
(…顔見たいけど…まったく見れない…!)
宇髄さんの顔が見たい。
宇髄さんに抱きしめてほしい。
宇髄さんと話したい。
それなのにそうすることは状況的にも難しい。
私は近くにいた隠の人が「代わります」と言って炭治郎を抱えてくれたので任せると再び跪き頭を下げた。
「…それでは!失礼しました…!柱合会議の前にお騒がせしました!」
「ああ、ほの花さん!あとで宇髄さんがお迎えに行くと思うので蝶屋敷でお待ちくださいね。」
「あ…は、…はい…。」
顔を見れないまでも迎えに来てくれるというのは嬉しいので口元がニヤけるのを必死に抑える。
そんな中、産屋敷様が柱合会議を始めようとしていたので立ちあがろうとすると、再び炭治郎が大きな声で叫び出す。
「ちょっと待ってください!!その傷だらけの人に頭突きさせてもらいたいです!禰󠄀豆子を刺した分だけ!!絶対に!!」
「ね、ねずこ…?ちょ、と、とりあえず!た、炭治郎!し、静かに!お願い!ね?!」
「嫌だ!絶対にする!頭突きなら隊律違反にならない筈だ!!」
私と隠の人が必死に窘めようとするが、家の柱に捕まって離れようとしない炭治郎にどうしたもんかと慌てふためいていると突然飛んできた石ころが彼に当たって拍子抜けをする羽目になった。
石が飛んできた方向を見ると無一郎くんが炭治郎に厳しい視線を向けていた。