第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
宇髄さんに手紙を送ってから刀鍛冶の里の様子を見ているともう三日も必要ないだろうということで一日早く帰ってきた。
指定された家で一週間自主隔離を経て、やっと久しぶりに町へと帰ってきた。
「うぅー!久しぶりの感覚…!嬉しい!最高な気分だね!」
そう言って正宗達に問えば、同じく感無量と言った様子で頷いてくれる。
無事に帰ってこれて良かった…。
「そうですね。たった一ヶ月なのに一年くらい離れていたような感覚です。」
「本当ですよね…。四人誰も欠けることなく帰ってこれたのは灯里様のおかげでもありますね。感謝です。」
「いずれもう一度帰り、灯里様に手を合わせたいものです。それよりほの花様は早く宇髄様にお会いしたいんじゃないんですか?」
確かに母の予防接種の効力は凄かった。
もちろん予防接種というのは毎年打ち続けることに意味があるから私たちはその分抗体が出来ていたことを考えると罹患する可能性は極めて低かっただろう。
でも、それを抜きにしてもやはり接種していなければ出向いて救護にあたることは不可能だった。
間違いなく母が助けてくれたのだ。
大進の言う通り、また落ち着いたら里に帰りちゃんと母に御礼参りをしたい。
そして此処に戻ってくると一番に頭に浮かぶ人のことを考えると無意識に顔がにやけてしまう。
「もちろん会いたいよー!でも…まず、産屋敷様に御報告に上がらないと…。その後すぐ家に帰るよ。」
「では、我々は一足先に帰って伝えておきますよ。荷物も多いですし…。」
「あー、そうだね。うん。報告にそんなゾロゾロ行く物じゃないし…。じゃあ、私だけ行ってくるね。」
早く宇髄さんに会いたい。
家に帰ってもまだ任務から戻っていないかもしれない。
帰っていても帰ってくるのが遅いとまだ寝てるかもしれない。
早めに報告を終えて急いで帰ろう。
大好きなあの人が待っている家へ。
すっかり季節は夏になっていて、燦々と降り注ぐ太陽の光はジリジリと暑い。
長い髪は暑いので、早々に一つに結び上げたが、この際だから切ってしまおうかとも思っていた。
でも、知らなかったのは宇髄さんが一房髪を取り、口づけをしてくれる瞬間がとても好きだったから。
帰ったら相談してみるのもいいかもしれないと弾むような軽い気持ちで産屋敷邸を目指した。