第5章 実力試験は実戦で【其ノ弍】
「しょ、諸事情で日輪刀は持っているんです。お気になさらず。」
「へぇ、そうなんですね!」
しかし、そんな人物私くらいのもので先ほどの正義感の強い少年は素直に受け入れてくれたようだが、怒っていたもう一人の少年は私を見て苦言を呈して来た。
「はっ!顔が良いからって特別扱いでも受けたのかよ、良いご身分なことで。」
「おい、やめろよ、そんな言い方!」
「あー、いいのいいの。顔は関係ないけど、家同士の繋がりで子どもの頃に頂いたの。ズルしたみたいに見えるよね、ごめんね。」
今回ばかりは苦言を呈して来た少年が感じたことが全てな気がしたので甘んじて受け入れよう。
だが…誰かに似ているような…?誰だろう…?
しかし、答えが出ぬまま、フンっとそっぽを向き玉鋼を選びに行ってしまったため、分からずじまいだ。
「ほの花ちゃん、私も行ってくるね。」
「あ、うん!行ってきて!」
カナヲちゃんも見送ると一人で取り残された…
かと思いきや目の前にまだいる額の傷がある少年に驚き慄いた。
「うーん、でも、日輪刀…、は持っていないように見えるんですけど、今日は持ってこなかったんですか?」
わたしの前でニコッと笑ってそう聞いてくる傷の少年のあまりに曇りなき眼を見ると無碍にもできず、腰に携えていた舞扇を開いて見せた。金色に輝く刃先のそれを見れば一目瞭然だ。
「なるほど、そこが日輪刀なんですね!見せてくれてありがとうございます!あの…アイツの言うこと気にしないでくださいね。持っていたって全然良いと思います!生き残ったのは事実なんだから!」
「え…あ、ありがとう。」
まさか会ったばかりの少年にそんな優しい言葉をかけられるとは思っていなかったため、ポカンとしてしまう。
「えと、お名前聞いてもいいですか?」
「うん!ほの花だよ。神楽ほの花!」
「俺は竈門炭治郎です!よろしく!」
「え?!かまどたんじろうくん?!」
しかし、流れで自己紹介をしたことで探していた人物を思わぬ形で見つけることになった。