第5章 実力試験は実戦で【其ノ弍】
──翌日
そこにいたのはカナヲちゃんと私を合わせてたった五人。
二十人以上居たはずなのに、たった五人。
私はそこで初めてこの試験の恐ろしさを知った。お茶会なんてしていたけど、ただ強い鬼と出会わなかった強運の持ち主だっただけかもしれない、と急に震えが止まらなかった。
それでも生き残った…。
合格したのだと思ったら大きく息を吐いた。
生き残った私たちには隊服と鎹鴉、そして日輪刀が与えられることになる。
カァ、カァ…と羽ばたいてやって来た鴉に私は目を輝かせた。
言うなれば私はこのために鬼殺隊になったと言っても過言ではないほど、欲しかった鴉。
肩に乗った鴉を見ると感動で思わず涙が出そうだった。
しかし、一人がやけに気が立っていたようで大きな声で産屋敷様の御息女を殴って、髪をひっ掴み荒ぶっていた。
女の子に手をあげるなんて最低すぎる行動をしたその男は仕留めた鬼よりも罪深い。何ならいま殺意を抱いている。
慌てて止めに入ろうとしたら…
「この子から手を離せ、離さないなら折る!」
額に傷のある少年が先に御息女を守るように気が立っていた少年の腕を掴み…
「ああ!なんだテメェは?やってみろよ!!」
折った…?
いや、ヒビ??
痛そうだけど、自業自得だ…。御息女の顔についた血を拭いてあげると「ほの花様、ありがとうございます。」と頭を下げてくれた。
何だ、あの子いい子そう。
あの子なら友達になれそうだ。
「お話は済みましたか?ではほの花さん以外玉鋼を選んで下さい。」
「え?全員じゃないんですか?」
そう、全員支給される日輪刀を作るための玉鋼。
そりゃあわたしだけ選ばないなんて驚くに決まっている。事情を知っているカナヲちゃんだけは涼しい顔をしているが、それ以外の人は訝しげにわたしを見ている。