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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※




「伊黒さん、少し強く押さえすぎです。弛めてください。」


妹の様子を見て、飛びかかろうとする竈門炭治郎を押さえている伊黒に胡蝶が苦言を呈するが、大して取り合わない。
まぁ、大事な場面で動かれたらたまらないからな。今はあの妹の鬼がどうするか実験の真っ最中だからだ。

しかし、尚のことその腕から逃れようとする竈門炭治郎に胡蝶が言葉を続ける。


「…竈門くん、肺を圧迫されている状態で呼吸を使うと血管が破裂しますよ。」


「血管が破裂?!いいな、響き派手で!よしいけ、破裂しろ!」


思わず派手な言葉に興奮して野次を入れてしまったが、竈門炭治郎は伊黒から逃れるために力を入れ続けているようだった。

おいおい、本当に血管破裂させる気か?
地味な顔して、派手なことしようとするじゃねぇかよ。なかなかできることじゃねぇ。


妹を助けるためにこうも必死に…か。
まぁ、俺もほの花相手だったらそうなるかもしれねぇからその気持ちはわからんでもない。

今はいない婚約者を想うと途端に竈門炭治郎の気持ちを汲みたくなってしまうのでなんとも複雑な心境だ。



何としてでも妹の元へ行こうとする竈門を見かねて助けた人物はまたしても冨岡だった。
伊黒の手を掴み上げると、自由になったソイツは這って縁側までたどり着き、不死川の血まみれの腕を見て息を荒くしたまま棒立ちしている妹に叫んだ。


「禰󠄀豆子!!」


普通の鬼ならば、いくら兄だからといって自我を保つことすら難しい。
それなのにその妹は兄の言葉にしかと反応し、目の前にある馳走を見てもふいっと顔を逸らした。


その姿は"人間は守る物"だと言い付けられた小さな子どものようにも見えた。
兄の声に咄嗟にそれを思い出したのか。
しかし、それでなくとも妹は血を前に飛びかかることもしなかった。

人を喰わないと言うのはどうやら本当かもしれない。今の状況だと少し危ういが、それでも竈門炭治郎と共にいれば…、喰わない可能性はかなり高い。


「…では、これで禰󠄀豆子が人を襲わないことの証明ができたね。」


お館様のその言葉で、俺たちの身の振り方は決まった。
当主の決めたことには従う。

それが鬼殺隊だ。


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