第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
──炭治郎が鬼の妹とあることをどうかお許しください。禰󠄀豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。飢餓状態であっで人を喰わず、そのまま二年の歳月が経過致しました。俄には信じ難い状況ですが、紛れもない事実です。もしも、禰󠄀豆子が人に襲いかかった婆は竈門炭治郎及び鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を切ってお詫びいたします──
それは鱗滝さんからの手紙。
禰󠄀豆子を殺したくないと言うことで此処までたくさんの人を巻き込んでしまったのか。
もう此処まできたらやるしかない。禰󠄀豆子は絶対に人を襲わないんだ。
溢れ出した涙を止めることができずにいると、それでもまだ納得できない人もいるのは当たり前かもしれない。
不死川という人は真っ直ぐに前を見据えて辛辣な言葉を並べ立てる。
「…切腹するから何だというのだ。死にたければ勝手に死に腐れよ。何の保証にもなりはしません。」
「不死川の言う通りです!人を喰い殺せば取り返しがつかない!殺された人は戻らない!」
「…確かにそうだね。人を襲わないと言う証明ができない。ただ…人を襲うと言うこともまた証明ができない。」
お館様という人は二年以上禰󠄀豆子が人を喰っていない事実を言い、否定するのであればそれ以上のものを出さなければならないと言ってくれた。
この人は…俺を、俺たちを信じてくれてるんだ。
鼻の奥がまたツンとした。
そして、その人はゆっくりとこちらに微笑みを向けた。
「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している。」
その言葉に柱と呼ばれる人が急に俺に向けて矢継ぎ早に言葉を投げかける。
どうやら鬼舞辻無惨という男に遭遇したのは俺だけ…?ということなのか?
柱ですら遭遇していないと言う。
「どんな姿だった?能力は?場所はどこだ?」
「鬼舞辻は何をしていた?」
「根城を突き止めたのか?」
一体何から答えたらいいのやらという量の質問を大量に浴びせられて困惑していると、お館様と言う人が静かに人差し指を口元に持っていった。
たったそれだけなのに今まで騒がしくしていた面々が一斉に静かになり、目の前の人の凄さを目の当たりにした。