第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「まぁ、いいじゃないですか。大人しくついてきてくれましたし。処罰は後で考えましょう。それよりも私は坊やの方から話を聞きたいですよ。」
再び蝶の髪飾りをつけた女性が話しかけてくれたが、話そうとしても喉に血がこびりついているせいか上手く発声ができずに咽せこんでしまった。
「水を飲んだ方がいい」と言われて飲ませてくれたそれは鎮痛薬入りの水。
ゆっくり話すように言われたので自分の今までの経緯を全て話すことにした。
「…俺の妹は鬼になりました。でも、人を喰ったことはないんです。今までも、これからも、人を傷つけることは絶対にしません!」
しかし、そんなことを言ってもくだらない妄言で信用できないと取り合ってくれないその人たちに何とか信じてもらおうと必死に言葉を紡いだ。
「聞いてください!!俺は禰󠄀豆子を治すために剣士になったんです!禰󠄀豆子が鬼になったのは二年以上前のことでその間、人を喰ったりしていない!!」
なんとかわかってほしいという一心で声を張り上げたけど、今度は派手な格好をした大きな人が話し出した。
「話が地味にぐるぐる回ってるぞ、アホが。人を喰っていないこと、これからも喰わないこと。口先だけでなくド派手に証明してみろ。」
ドクンドクンと心臓の音が聞こえてくるほど緊張している。どうしたらわかってもらえるのかと頭の中で考えていると変わった髪の色をした女性が口を挟んできた。
「あのぉ、疑問があるんですけど。お館様がこのことを把握していないと思えないです。勝手に処分してしまっていいんでしょうか?いらっしゃるまで待った方が…。」
まさにこの時は助け舟だと思った。
もう少しだ。
もう少しで分かってもらえるのではないか?
そう震えながらもう一度声を張り上げた。
「妹は俺と一緒に戦えます!鬼殺隊として人を守るために戦えるんです!!だから…!!」
だから信じてください…。そう言いたかったのに
それは新たな人物の声で遮られて言葉にならずに飲み込む羽目になった。
禰󠄀豆子の木箱を担いだ傷だらけの男によって。