第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
今日は柱合会議だと思って来てみたら、其処に運ばれて来たのは血まみれの市松模様の羽織を着た少年と木箱。
しかも、木箱からは鬼の気配がぷんぷんとしやがる。
「この子はお館様の命により此処に連れ帰ることになりました。鬼になった妹を連れた鬼殺隊士です。」
「はぁ?そりゃ隊律違反じゃねぇのか?派手に斬首するしかねぇだろ?」
俺以外の柱も一様に頷くが、胡蝶は眉間に皺を寄せたまま首を振る。
「お館様の命なのです。裁判を受けてもらいます。そろそろ起こしましょうか?」
声色は穏やかだが、顔は一切笑っていない胡蝶が隠にそう告げるとその男を起こしにかかる。
額にあざがある鬼の妹を連れた鬼殺隊士ねぇ…。
正直、こんなことに付き合っているほど精神状態は穏やかではない。
家での問題のが山積みだ。
隊律違反は明白なのだから斬首するのが当然だ。こちとら瑠璃を裁判にかけてとっととおさらばしたいと言うのに、先に裁かれるのはこの男のようだな。
まだ若いだろうに、馬鹿なことをしたな。
妹の首を斬っていれば自分は助かったというのに。
「やい!起きろ!」
「そうだ!早く起きろ!」
「柱の前だぞ!いつまで寝てるんだ!」
「早く起きろって!!」
よほど深く寝入っていたのか、怪我のせいかは分からないが、漸く目を覚ましたその男はゆっくりとこちらを見上げて呆けた顔をしている。
その男に胡蝶が声をかける。
「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるんですよ。竈門 炭治郎くん。」
その名前に俺はどこか聞き覚えがあった。
何処だったか…?
同じ任務に就いたことはないはずだ。
では何処で?
興味のない地味な男は記憶から排除されるのか全く思い出せない。
そもそもこんな木箱を抱えていたら印象に残るから気づく筈だ。
要するに会ったことはない。
ということは名前だけ聞いたことがあるのか?
いくら考えてもその名前が何処で聞いたのか全く思い出せない。
俺たち柱を見て固まってしまったその男を見下ろすが、一向に思い出す気配もないので勘違いかもしれないとその場は気にしないことにした。