第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
天元の家に来て一週間が経とうとしていた。
相変わらず、ほの花と言う女は帰って来ない。天元が裏で手を回して帰って来ないようにしているのではないかと思ったりもしたが、会わせなければ殺すと言ったら酷い慌てっぷりだったことを考えるとそれは違うだろう。
天元は夜、決まっていないことが多い。
居たとしても夕方までで、夜はいない。
仕事だと言っていたが何をしているやら。
その女のところに逢瀬でも行っているのかと思い、何度か後をつけようかと思ったが、彼の後を付けるのは至難の業。
正直、自分には無理だと早々に見切りをつけた。
里にいた時よりも遥かに力を付けているようで自分なんかでは足元にも及ばないことは一瞬で感じた。
だけど、その女に会わせるという言葉に嘘はないと思う。そうでなければ、寝込み襲い、私を始末することもできるのにしないのは可笑しい。
それにしても誰に聞いてもほの花と言う女のことに関して頑なに口を割らない。
どんな女なのか、何をしている女なのか?
全く分からないまま、一週間が過ぎた。
部屋に置いてあるものは片っ端から調べた。
化粧品やら布団やら着物やら…
全て普通の物。
そこに特別な要素は感じられない。
天元の部屋に持って行った物の中に秘密が隠されているのだと思い、部屋に忍び込もうにもいつも三人の嫁の誰かが見張っているし、天元がいる時は部屋の前にもいることを許されない。
そこまでして守りたい女ってどんな女なの?
最初は会ったら八つ裂きにしてやると血気盛んに思っていたが、今は会ってみたいという気持ちが強い。
天元が骨抜きにされたという女がどんな女か。
気になって仕方ない。
先日、数枚の着物も夜着も質素な色合いのものが多い中、押入れで見つけた膝掛けが桃色で目立つので気になって出してみた。
そこからふわりと香る花のような香りがほの花という女の正体だろう。
これだけが明らかに大切だと言わんばかりに薄布に覆われて一番上に置いてあるのを見ると天元から贈られたものかもしれない。
それを壁に投げつけると同時にクナイを数本打ち付けてやる。
こんな物もらって浮かれているのも今のうちよ。
能無しの嫁はいらない。