第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「天元様ー!」
「天元様、聞いてくださいよ!」
「天元様、私もう我慢できませんー!!」
一日に何回も聞く不満の嵐。
元嫁たちのそんな姿は正直初めて見た。それもこれも自分が蒔いた種。
頭を悩ませても自分のせいなのだから致し方ないと言うものだ。
瑠璃は我が物顔でほの花の部屋を使い、アイツの化粧品を勝手に使い、アイツの定位置で飯を食い、アイツの布団で寝る。
ほの花がかかっていなければ俺は間違いなく、追い出していただろう。
しかも、ほの花が帰って来ないまま明日は柱合会議もある。
悩みの種が解決していないのに彼女が帰ってくるのも明後日の予定だった筈。
要するに喜びと悩みの種が同時に来るようなものだ。
「あー…帰ってきて欲しいのに帰ってきて欲しくねぇ…。」
「ほの花さんがもっと気の強い人だったらよかったのに〜!そうしたらビシッと瑠璃さんに言ってくれたのにぃーー!」
「そんなのほの花さんには無理よ。本当にとても優しいもの。」
「天元様!ちゃんと守ってあげてくださいよ?!ほの花さんが泣いてたらわたし許しませんからね?!」
三人の意見は的を得ている。だからこそ俺はこんなにも頭を悩ませている。
アイツがもっと気が強くて、瑠璃の酷い行いに対して対抗できるだけ口が達者であれば何の心配もない。
だけど、ほの花は聞き上手。
どちらかといえば相手の話をじっくり聞いてしまうし、瑠璃の想いを汲んで気に病む可能性のが遥かに高い。
巧みな話術で相手を丸め込むなんてできやしないし、そんなことできない奴だからこんなにも愛してしまった。
他人にも無償の愛をかけられるほの花が瑠璃を放っておけないと考えると問題は山積みだ。そうなってしまえば「放っておけ」なんて言っても無駄なのだから。
「あー…会いてぇのに会いたくねぇ…。いや、やっぱり会いてぇ…。いや、もうくそ、ああああ!俺は!!!派手にほの花を愛してんだわ!!代わりはいねぇ!!!」
「「「知ってます。」」」
俺の悲痛な叫びもコイツらにしてみたらそんなことよりも瑠璃を一刻も早く追い出せという所に行き着くのだろう。
どうにもできないこの時間に頭を抱えるしかない。