第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「何此処?変な温室ね。草ばっかり生えてて趣味悪いんじゃない。」
「か、勝手に入って来ないでくださいよぉ!此処はほの花さんの温室で、天元様がいない日は私がお水を上げてるんですぅー!!」
「ああ、通りで趣味の悪い草ばかり生えてると思ったわ。役に立たないどころか趣味も悪いなんて良いところ一つもないじゃない。」
何でこんな人にほの花さんを悪く言われて本当のことを言えないのか。
天元様に素性を明かさないように言われているから薬師であることも言えない。
此処の水やりは天元様がいない時だけ私が代わりにしている。
以前、二人が喧嘩していた時に大事な薬草が枯れてしまったことを天元様が責任を感じていたからだ。
確かに此処には綺麗な草花はない。
それは薬草だから。西洋薬草が多い此処は、一見見たこともない草ばかりが生えているので普通の人が育てるにしては確かに変な趣味と思うかもしれない。
でも、此れを使ってほの花さんは多くの人の命を救ってきた。私だって風邪をひいた時に薬を作ってもらって飲んだら二日で良くなったし、月のモノの腹痛にも優しい痛み止めがとても良く効く。
天元様なんて風邪が半日で治った。
此処にあるものはほの花さんが大切に大切に育てた命の薬草なんだ。趣味の悪いなんて言われる筋合いはないのに…。
「ほの花さんのこと、悪く言わないで下さいよぉー!本当に優しくて可愛い良い子なんです!!」
「みんなそう言うけど、口裏合わせでもしてるわけ?」
「な、っ、してるわけないじゃないですかぁ!!瑠璃さん、意地悪ですぅ!!」
私の言葉にさも興味なさそうに"はいはい"と遇らうとほの花さんの薬草を一つブチっと抜くと匂いを嗅いでポイっと捨てた彼女に怒りで体が震えた。
「本当趣味悪いわね。見たことない草ばかり育てて。変な女。」
そう言うと温室を出て行ったけど、その瞬間涙が溢れてきた。
何で、そんなこと言うの?
ほの花さんが大切にしているこの子たち。
大切な役割があるのに。
抜き捨てた薬草を拾い上げるが、それは元には戻せないかもしれないと思いつつ、もう一度同じ花壇に植えてみた。
大丈夫…、ほの花さんが薬草は生きる力が備わってるって言ってた…。
私は泣きながらそれを植え直すと涙が止まるのをじっと待った。