第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
…追い出したら殺すだと?
その前に俺に殺されることなど考えてもいないような発言にため息を吐く。
隠密に行動すれば、お館様に迷惑がかからずことを済ませることは可能だろう。
元々瑠璃も里の人間だ。
堅気の奴らと違い、揉み消すことなど簡単なこと。
でも、それだと里から出てきた意味がまるでない。人を無闇に殺すことは二度としたくない。
それが自分にとって不都合な人間でも。
瑠璃の顔は本気だ。
ほの花に会うまで帰る気はないのだろう。
会わせたくない。
傷つけられるのは絶対に困る。
ほの花は心も体も俺が守ると決めている。
それなのにこのザマはなんだ。
このままでは瑠璃に傷つけられるのは関の山。
会っただけでアイツが満足する筈がない。
ほの花に向けてきつい叱責をするに決まってるし、大変な仕事から帰ってきて少しでも休ませたいと言うのにそれすらしてやれないのかと思うとため息しか出ない。
「…会ったら帰るのか。手を出さないと誓うか?」
「ええ。会ったら帰るわ。」
「手を出さないと誓え。」
俺がいない時に万が一ほの花に手を出されたら本気でこいつを殺しちまうかもしれない。
不要な殺生はしない。俺が殺すのは鬼だけだ。
「…約束する。殺したりしないわ。」
正直、此処にいる奴よりもほの花のが遥かに強い。正攻法で戦えば負けることはないだろう。
しかし、コイツはくの一だ。暗躍を得意とする一流のくの一である以上、秘密裏に動かれて寝込み襲われたりしたら困る。
俺がいれば守ってやれるが、そうでなかった時、一番心配なのは事情を知ったほの花がアイツに攻撃できるかどうかということ。
ただでさえ女に手をあげたりするのが好きじゃないほの花。
鬼でもなければ、絶対に女に手をあげることはしないだろう。
いくら自分が殺されそうになっても…アイツは武器を向けない気がしてならない。
下手したら自分の存在を気に病む可能性だってある。
どうしようもないくらい優しくて遠慮がちなほの花。
瑠璃とはまるで正反対。
絶対にアイツがほの花を気にいる筈がない。だからこそ…本当は会わせたくない。
「…会うだけだ。いいな?」
でも、これは俺の責任でもある。
守ってみせる。ほの花を。