第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
此処に来た目的なんて大してない。
ただこの男に復讐をしたかったから。
ついでに宇髄家の繁栄の為に子を産み落とし、その子を手に里に帰れば私の大義名分も立つだろう。出来れば嫡男が生まれるまで何度も産み落とせばいい。
今のままでは宇髄家の長男を止められなかった役に立たない女だ。
そんな不名誉な烙印を押されて私が許すわけがない。
「私を嫁にしなさい。其れが貴方の責任でしょう?」
「…俺はもう決まった女がいる。悪いが其れはできねぇ。」
「決まった女ですって?四人目にしてくれたら良いだけの話じゃない!あんた馬鹿なの?」
里を出るのに四人もゾロゾロ連れて行けなかったのかもしれない。
だが、もう此処は里ではない。
貴方達が堂々と暮らしているように私のことも堂々と嫁にしてくれたら良いだけの話ではないか。そうして子を授かれば、私は宇髄家の嫡男を手に里に帰るのよ。
しかし、私の考えをあっさりと裏切られるようなことを口にした天元に震えが止まらないほど驚いた。
「コイツらとも関係を解消した。今は家族だ。だからお前を四人目にすることはできやしねぇんだよ。」
「……は?」
関係を解消した…?
雛鶴とも?
まきをとも?
須磨とも?
家族…?
「…どういうことなの。説明して頂戴。」
「愛してる女がいる。そいつと夫婦となる約束をしてる。悪いがお前を嫁にはできない。コイツらもゆくゆくは好きな男の元へ自由に嫁いでいく。お前ももう俺に縛られるな。」
愛してる女?
此処にはいない女をその女を娶る気でいるというの?
三人との関係を解消してまで?
どう言うことなのだ。
全く考えが理解できない。
「ふざけないで。頭おかしいんじゃないの?貴方は宇髄家の長男なのよ?!そんな何処の馬の骨かも分からない女にうつつ抜かしてるって言うの?!何処の女なの?!八つ裂きしてやる!」
「瑠璃、お前には関係ねぇことだ。万が一…アイツに指一本でも触れてみろ。俺は元許嫁だとしても…容赦はしねぇ。」
天元のその顔は本気だった。
本気でその女を愛してるのだろうか。
手を出したら許さないと体から溢れる気がビシビシと伝わってくる。
こんな感情的になる男だっただろうか。
いつも冷静な人だったはず。
いま目の前にいる天元が知らない人のように見えて私は蛇に睨まれたかのように動けなかった。