第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「悪いが、お前は嫁にしない。他の男のところへ嫁げ。じゃあな。」
突然そんなことを言われた翌日、天元は雛鶴、まきを、須磨を連れて里を出て行った。
青天の霹靂だった。
遠縁の雛鶴は元々、天元の許嫁だったし、まきをも幼馴染でその候補だった。須磨はその姉が候補だったが、本人が嫁になるのを希望したらしい。
そして、私もそのうちの一人。
四人が嫁になる予定だったのに、私だけ除け者のように取り残されて、里を出て行った。
天元とは古い付き合い。
子どもの頃から知っているし、自分が許嫁の一人だと分かっていたから何となく昔からよく一緒にいた。
忍の一族を存続させていくために、女は優秀な子を産み落とし、必要な取捨選択をするのは当然のこと。
弟や妹を殺してしまったと嘆く天元は忍としては半人前だと思っていたが、自分が姉さん女房としてお尻を叩いてあげようと意気込んでいたのに。
それなのに…彼は突然居なくなった。
里を勝手に出て行った天元は当然、もう二度と里に戻ることは許されない。その嫁達三人も。
彼の父に「何故出て行ったのだ」「何故止めなかった」と問い詰められたが、知るわけがなかった。
相談すら一度もされたこともなければ、そんなことを考えていたことすら知らなかった。
強い男に、強い精神に鍛え直して、私が立派な宇髄家の跡取りとして背中を押してあげようと心に決めていたのに。
天元は昔から宇髄家の考え方に不満を抱いていたのは知っていた。だけど、忍たるもの其れが当たり前。むしろ何故天元がそこまで頑なに拒否をするのか理解に苦しんだ。
そうしなければ宇髄家は、忍び一族は滅びてしまうと言うのに。
その家に生まれたのだから当然、しきたりに倣い、宇髄家繁栄のために心血を注ぐのが当然といえよう。
そのために彼に嫁いだのであれば、女として強い子を宿し、またより強い子孫を残すためにお父上のように取捨選択をしていくのが当然だ。
甘っちょろい考えの天元に嫌気が差したが、どこかで選ばれなかったことに強い憎悪を抱いていた。
いつか復讐をしてやると心に決めていたのだ。