第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
「る、瑠璃さん…!何で、此処に…?」
雛鶴の声に驚きすぎて呆けていた意識が戻ってきた。すると、悪びれもせずに俺の肩に手を置いたまま、近寄ってきた雛鶴に振り向く。
「あら、天元に会いに来たに決まってるでしょう?どれだけ探したと思ってるのよ。」
「天元様から離れてください。瑠璃さんはもう関係ない筈ですよ。」
瑠璃の腕を掴み、引き離そうとしてくれる雛鶴を制し自ら彼女から距離を置く。
油断して口づけをしてしまったことが悔やまれる。ほの花に何て言えばいいのだ。
自分は散々独占欲と嫉妬をぶつけておいてこのザマは酷いものだ。
「…俺に用はねぇから帰れ。二度と此処に来るな。」
そう冷たく突き放すとほの花の部屋へと戻ろうと歩き出すが、今度は腰に抱きつかれて足止めをされる。
「…何だよ、離せ。戦う気なら表へ出ろ。」
「あなたと戦いたいわけないでしょう?久しぶりに会えたのよ?感動の再会なんだからもう少し喜びなさいよ。」
「生憎、お前には全然全くこれっぽっちも会いたくなかった。離せ。やることがある。」
再び瑠璃を振り払うと置いてあった箒を再び持ち、ほの花の部屋を掃き出した。
彼女が帰ってくると知って、気持ちが浮き立っていたと言うのに最悪な気分だ。
唯一、此処に僅かに残るほの花の匂いだけが俺を癒してくれている。
しかし、突き放したとても此処を突き止めるほど探したと言う瑠璃が簡単に引いてくれるわけがない。
ほの花の部屋にズカズカと入り込むと彼女の香の匂いが部屋中に充満して眉間に皺を寄せる。
「…おい、部屋から出ろ。」
「天元が掃除なんて珍しいわね。貴方の部屋?…にしてはちょっと質素ね。」
「うるせぇな。早く出ろ。お前のキツい香の匂いが部屋に移るだろうが。出ろ。そして帰れ。お前に用はないと言った筈だ。」
強く言ってもどこ吹く風の彼女は無遠慮に部屋の中を歩き回ると、箪笥や押し入れを勝手に開け出す始末。
慌てて腕を掴むと縁側から外に放り出してやった。