第27章 晴れ時々嵐、柱合会議にご注意を※
もちろん三人の元嫁達にもすぐに報告するために手紙を持ったまま、居間に向かう。「帰ってくる日が決まりそうだ」と伝えれば、目に涙を溜めて号泣する三人に面食らって立ったまま茫然としてしまった。
確かにこの数週間、本当に寂しかったし、家の中がガランとしていて居心地が悪かった。
元の生活に戻っただけと言われればそうなのだが、ほの花も正宗も隆元も大進もこの家に馴染みすぎていて家族同然。
いないことのが違和感があった。
でも、それはこの三人も一緒だったのだろう。
普通に生活していても何処となくボーッと空を見上げていることが多かった。
三人が三人とも。
俺だけではなく三人にとっても、もう元に戻ることなどできやしないのだ。
前までの"普通"が変化したから。
「い、いつですかぁ!?大進様たち、帰ってくるのっ、いつですかぁ?!」
須磨に泣きながら縋りつかれたのを皮切りに雛鶴もまきをも飛びついてきた。
そんな三人を見て、目尻を下げて手紙を指差した。
「順調に行けば十日後だとよ。」
「十日後は…!お帰りなさいの宴会をしましょう!!良いですよね?天元様!」
まきをが食い気味にそう提案すれば、須磨も雛鶴も大きく頷いて俺を見上げる。嫁という関係性で無くとも、コイツらは大事な家族。
家族愛はある。だからこそ今でもこうやって頼ってくれたり、今までと同じように喜びや悲しみを共に感じたりすることが出来る。
そう思ってくれているのが自分だけではないから実現できること。
「ああ、もちろんだ!派手にやろうぜ!アイツらも喜ぶに決まってる。」
「待ち遠しいです!!あ、四人のお布団干しておかないとですね!」
「夏のお布団も出さないと…!」
「ほの花さんに豆大福買わないと〜!!五百個でしたっけ?」
「五十個だろ!?単位おかしいわ!」
須磨の大ボケに派手に突っ込む羽目になったがら彼女ですらこんな風に笑ってるのを久しぶりに見た。
俺だけではなく、この数週間この家の住人は全員間違い無く腑抜けていた。
今なら分かる。
ほの花が帰ってきて、この腕に抱きしめてやっと元の俺に戻れるのだと。
あの四人はもう俺たちの家族なのだから。