第5章 実力試験は実戦で【其ノ弍】
女の子に好かれやすいと気付いたのも同じ時期だった。
だから
同性としてただ好かれているのか
それとも
恋愛対象として見られているのか
まずはそれを俯瞰して見なければならなかった。
「あー、何で女の子に恋愛対象として見られるのよー…。」
「まぁ、ほの花様は背も高いし…。」
「強いし…。」
「"れでぃふぁーすと"だし…。」
正宗達に相談してもいつも同じ答えが返ってくるが、その頃から女友達として気を許せるのは彼らの奥様達くらいで、好意的な女性が苦手になっていた。
だからと言って、この身長のせいで男性からも女性として見てもらえない日々は続いていて、そのせいで恐らくお見合いも断られた気がする。
気がする…というのはお父様から縁談の話があったのだが、一度お会いしただけでそれ以来二度と会わなかったので断られていたのだろう。優しいお父様は決してそのことには触れなかったので、憶測ではあるが…。
その方は割と小さめの男性だったことも覚えているので、ほぼ間違いない気もする。
「骨の一本くらい抜いたら小さくなるんだろうな…。」
「恐ろしいことを平気で言いますね。その内現れますよ。まだ16じゃないですか。」
(自分達だって早々に結婚したではないか…。)←八つ当たり
彼らがそうは言っても里では16では殆どの女性が嫁いでいたので私はハッキリ言って焦っていた。
でも、19も超えるともう開き直ってきたのは記憶に新しい。
焦ったところで里の人は年月が経つに連れて既婚者が増え、もちろん背が低くて可愛らしい女性から選ばれていく。
売れ残った私は里を治めていた父の娘だということで腫れ物に触るように接してくれるのが返ってツラくて、逃げるようにして三ヶ月間の全国行脚の旅に出かけたのだ。
残っていたらきっと死んでいたかと思うと、いま思えば私は"生かされた"のだ。