第26章 君の居ない時間※
加藤先生と坂井さんに音柱・宇髄天元が私の恋人だと知られてしまってからあまりの興奮状態の彼らに恐れを成して、慌てて彼に手紙を書いた。
これで一安心!!とホッとしていたのにその三日後、いつもよりも五倍近くの大きな封筒で届いた宇髄さんからの……手紙?
いや、これは…手紙なのか?
よく分からないけど、兎に角デカい。
ひょっとして…また何か贈り物でも入っているのかもしれない!花びらの次は一体何なのだろうか。と胸を躍らせて封を開けてみると私は全身に悪寒が走った。
──ほの花へ
今日から此れを背中に付けろ。
言い訳は聞かねぇ。
帰ってきたら抱き潰してやるからな。
覚悟しとけ、この馬鹿女!
だけど、派手に愛してる。
宇髄天元──
簡素も簡素なその手紙と同封されていたのは書だった。
それを恐る恐る取り出してみると顔を引き攣らせた。
触るな 俺の女
宇髄天元
「ひぇ…!こ、これ、を背中に貼れっていうの…?!む、無理ぃ…!!!」
一体何が気に入らなかったのだ。
謝ったのに…許してくれなかったと言うこと?!
こんなの背中に貼って診療してたら頭のおかしい女だと思われてしまう。
どうしたらいいの…!と絶望感に駆られているとちょうど休憩に来た大進が私の持っている書を見て同じく固まった。
「…ほの花様、宇髄様に何かしたんですか…?」
「何も…してないと思うんだけど…。怒らせたみたいで、此れを背中に貼れって送られてきた。」
「ちょ…いくらなんでも…そ、そんなの貼ってたら…ブフッ…!す、すみません…!」
私だって此れを張ることが可笑しいことだと分かっている分、大進が笑いを堪えて目線を逸らしている姿に口を尖らせる。
「わ、笑わないでよ…!だ、だったら貼ったことにして口裏あわせてよ!私が頭おかしい女に思われてもいいの?!」
「帰ってから宇髄様にバレて余計怒られても良いなら口裏合わせますけど?」
「……何よ!未来が読めるわけ?!?!」
全くもって簡単に予測がついてしまう未来を心配されてぐうの音も出ない私は仕方なくその書を折りたたみ、懐にしまうことにした。
せめて何かあれば此れを無言で見せよう。
効力があるかはさておき、宇髄さんの無言の圧力を感じることができるはずだ。