• テキストサイズ

陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第26章 君の居ない時間※





「ぜ、全然!大丈夫ですよ!」


「やだぁー!先生ったら野暮ですよ、野暮〜!そんなの恋人のことを考えていたに決まってるじゃないですかぁ!ね?ほの花さん!」


「えっ、あ、…いや…!!」


そう言って笑顔を向ける彼女は坂井さん。
此処で住み込みで働く看護師の人だ。
あの看護記録を書いたのはこの方の同僚だと言う。一番最初に患者を看護をしていたことで感染対策もできておらず、私が来る一週間前に亡くなったそうだ。
それでも、坂井さんはとても明るくて可愛らしい。
刀鍛冶の里において、医療者は稀だがこんな元気な人が看護してくれるならば直ぐに元気になれそうだ。

そんな坂井さんの表情はひょっとこで窺い知れないが、声の調子は少し揶揄いを含んだもので顔に熱が溜まる。



「あー!そうだよね?ほの花さん、年頃の娘さんだし、美人だし、恋人の一人や二人いるよね?」


「そうですよ、先生!!で?!あの三人の中のどの人ですか?!」


「………はい?」


あの三人の中のどの人とは?

三人

三人…?

三人って…え?!


「えええ?!いや!あの三人は私の家に仕えていた元護衛で、決して恋仲ではありませんよ。」


「…ええ?!そ、そうなんですか?てっきりどなたかと恋仲なのかと…。何だ〜。ではほの花さんの恋仲の男性は誰なんです?」


「だ、誰って…。え、と…。」



突然坂井さんにそんなこと聞かれて、言葉が出てこなくて詰まってしまう私。
こんなところで音柱が自分の恋人なんて言ってしまったら、宇髄さんに迷惑がかかるだろうか。
いや、鋼鐡塚さんには咄嗟に言ってしまったけど…。
でも、柱と言ったらやっぱり威厳が大切だし、ちょっとだけ誤魔化しておいた方がいいかもしれない。


「あの、鬼殺隊の上司なんですけど、素敵な人です。」


「鬼殺隊の人なら此処にも来たことあるんですよね?いつかお会いできたら是非御礼を言いたいです!だって恋人を流行病が蔓延するところに来るのを許してくれた人だもの!!」


「そうだね、ほの花さんがいなければ全滅していたかもしれない。で?何という名前の人だい?」



どうしよう、誤魔化そうと思ったのに結構しつこ…←
えと、どんどん深く聞いてくるなぁ。
表情は分からないのにじりじりと圧力を感じる私の額から汗が滴り落ちた。

/ 2859ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp