第4章 実力試験は実戦で
「……随分めずらしい客が来たもんだな。」
冨岡さんに送ってもらって玄関で宇髄さんと対面した時、本当に珍獣でも見るかのような驚愕の表情をしていて、やっぱりあんまり接点ないんだろうなと直感的に感じた。
「え、えと、途中でぶつかって私が転んだので気にして送ってくれました。冨岡義勇さんです。」
「いや、知ってるっつーの。まぁ、ありがとよ。冨岡。ほの花が世話んなったな。」
あまりに話さない冨岡さんに、思わず他己紹介してしまったが、宇髄さんの言葉にも頷くだけの彼にやはりいつもこんな感じなのだと少しだけ安心した。
「…怪我はしていないようだが、疲れているようなので早めに休ませた方がいい。」
「あ?あー、分かった。ほの花、先風呂入ってこい。」
「え、は、はい。と、冨岡さん、送ってくださりありがとうございます!あの、宇髄さん、怖くないですからね!ちょっと口悪いけど、すごく優しいんです!だから大丈夫ですから!」
「おい、お前何の心配してんだよ。しかも急に目の前で俺の悪口かよ?!」
「わ、悪口なんてそんな、冨岡さんありがとうございますー!では!お風呂行ってきまーーす!失礼します!」
悪口のつもりなど更々なかったのだが、よく考えたら確かに悪口とも取れる内容のため怒られない内に失礼ながら退散することとした。
冨岡さんが持ってくれていた荷物を受け取ると広い廊下をこれでもかと全力疾走で走り抜けると雛鶴さん達と正宗達に「ただいま」の挨拶もそこそこにお風呂場に逃げ込んだ。
荷物を持ってもらっていたおかげで帰ってくるまでの間ですっかり疲労は回復していたが熱いお湯に浸かると溜まっていたものが全て溶け出していくようでホッと一息を吐く。
それにしても冨岡さんはちゃんと宇髄さんと会話できたのだろうか。きっと宇髄さんと同じくらい強いのだと思うけど、柱でもいろんな人がいるのだと改めて知ることとなった。