第4章 実力試験は実戦で
「冨岡さんは継子はいないんですか?」
送ってくれると言ったまま何も発しない冨岡さんに益々話題に困ってしまった。
"最近寒いですね。"
"温かいものが美味しい季節ですね。"
"早く春が来て欲しいですね。"
どこの年寄りの会話だ!これは!
そんな当たり障りのない会話を一通り終えてしまうとまた話題に困った私は冒頭の質問をしてみる。
柱だからと言って全員継子がいるわけではないらしい。不死川さんはいらっしゃらないようだったし、冨岡さんはどうなのかな?と思って出来心で聞いてみたが、失敗だったようだ。
それを聞いてから何も返してくれなくて自分達の足音しか聞こえないこと数分。
何だ、この地獄のような時間は。
送ってもらってありがたいのだが、会話が続かないことでいかにいつも宇髄さんが話し上手で聞き上手か思い知らされた。
顔は綺麗な顔をしているから女性には困らなさそうなところは宇髄さんと一緒だけど。
「…あの、ごめんなさい。いまの質問は忘れてください」
「継子はいないが、知り合い…?のような奴が…今度の最終選別を受けることになっている。」
いや、答えるんかい!!
何なのいまの間は!拙い質問してしまったのかと思って一喜一憂してしまった。
それに知り合いのような奴とは?!
脳内ツッコミが炸裂しているが、恐らく宇髄さんがいても同じツッコミしてると思う。
「そ、そうなんですね。会えたら何か伝言でも伝えておきましょうか。」
「伝言…?」
「はい。何かあります?」
それからまた長い長い沈黙の末、「特にない」と言う返答に柱でなければ「ないんかい!!」と頭を叩いてしまうところだ。
だけど、名前を聞いてみたら"かまどたんじろう"と言うことだけ教えてくれたので会えたら聞いてみようかな。
でも、友達でもなければ、"知り合いのようなやつ"呼ばわりの"かまどたんじろう"さんはひょっとしたら大して冨岡さんのこと知らないのではないか?と彼の後ろでとんでもなく失礼なことを考えるのだった。