第4章 実力試験は実戦で
見かねて私から話しかけてしまったが、正解だと思う。このままであれば寒い中、ずっと立ち往生する羽目になること間違い無い。
「えーっと、冨岡さんはしのぶさんと仲が良いのですか?」
「胡蝶と…?いや…、普通だ。」
「そ、そうですか。私が最終選別を受けることを知っていたのでしのぶさんに聞いたのかな?と思いまして…!」
だってどう考えても宇髄さんが彼と仲が良いとは考えにくい。
あんな派手で豪快な人がこんな物静かな人と仲良さげに話してる姿が想像できない。
失礼なことを言っていると分かっているが、絶対に合わない。
「…それなら柱の中でほの花が最終選別を受けることになったと話題になったから知っている。」
「え?!そうなんですか?宇髄さんが言ってくれたのかな。」
「…そうだと思う。だから柱は皆知っている。」
宇髄さんなら私のために先回りしていろんなことをしてくれてる気がしたので、これもきっと私のためなのだろう。
まぁ、鎹鴉欲しさに鬼殺隊に入ろうとしたことは流石に言っていないと思うが。
「…鍛錬は順調か。」
「は、はい!お陰様で…。しのぶさんのところのカナヲちゃんと共同でやらせて頂いております!」
「そうか。」
うーーんと…会話が続かない…。
どうしよう、柱の方の話をこちらで切るわけにいかないし、かと言ってそろそろ寒くなってきた。
「……あ、あの…寒いですね。」
「そうだな。」
「で、ですよね。…冨岡さんも帰るところですか?」
遠回しに"そろそろ帰ろうぜ!"という気持ちを全面に出して見るが彼の表情は全く変わらない。
ど、どうしたらいいの。分からない、何の表情なの、それ。
「…ぶつかってしまったお詫びに送ろう。」
「へ…え!い、いや、大丈夫ですよ?!」
「疲れているのだろう?あまり顔色が良くない。荷物を持とう。」
「え…。」
気付かなかった…。
私、顔色悪かったの?きっとすぐに戻るだろうが、おとなしい人かと思いきや冨岡さんは意外にも私から荷物を取ると恐らく自分の家と逆方向だろう宇髄さんの家に向かい歩き出した。