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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第26章 君の居ない時間※





もちろん心配なことは他にもある。
いくら元護衛といえど、勝手に決めたことを怒られるのではないかと言うことだ。
流石に拒否されることはないだろうが、兄のように思ってきた三人だ。
遠慮なしに苦言を呈して来るのはよくあることだからだ。


終始機嫌の悪い宇髄さんと帰宅すると、ことの次第を正宗達に伝えたのだが…


「あ、そうなんですね。わかりました。」


「いつ出発ですか?」


「必要なものをすぐに準備しましょう。」



思ったよりもすんなりと受け止めてくれたことに肩透かしを喰らった。
まさかそんな風に了承してくれるなんて思いもしなかったからだ。


「…いいの?勝手に決めたのに…。」


自分で勝手に決めたのにあまりに簡単に受け入れてくれるものだから拍子抜けしてしまったが、そんな私に呆れたようにため息を吐くと笑ってくれる。


「何言ってるんですか。ほの花様の指示には従いますよ。元護衛ですから。それに事情が事情です。予防接種を受けてるものが行かねばならないことは分かりますから。」


「ありがとう…。明日出発するから温室からこの必要な薬草をありったけ採ってきて。あとは現地で何とかする。」


「承知しました。」


必要な薬草を書いた紙を渡せばそれを受け取って庭に向かってくれた彼らを見送る。
部屋に戻って準備しないとと思い、真っ直ぐ廊下を進み、自分の部屋まで来ると急に襖が開き中に引き摺り込まれた。


しかし、その匂いも温もりも見覚えのあるもの。
ちっとも怖くないし、むしろ愛しか感じないそれは私に安心感をもたらす。


部屋の中に入るや否や熱い唇が自分のそれに押し付けられて、腰をがっちりと掴まれた。



「…んんっ、ふ、ぅ…。」


酸素も吸えない熱い口づけを一度すれば、また角度を変えて再び押し付けられる。
下唇を喰み、何度も繰り返されるそれに頭の中まで蕩けてしまいそうだ。

その唇が首筋に降りてきたことで、潔く制止を試みた。まだ外は日も落ち切っておらず、橙色に染まっている。


「ちょ、…て、天元?待って…?」


「俺が…行くなって言っても行くんだろ?」


その言葉に返す言葉は肯定の言葉しか持ち合わせていない。
でも、それしか返ってこないと彼も分かっているはずだ。

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