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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第26章 君の居ない時間※





「と、とんでもありません…!最初に聞かなかった私が悪いんです…。えと、では…、先ずはそこに出入りしている隠の人の隔離をすることと接触する人は必ず口を覆ってもらうように伝えて欲しいのと、恐らく刀鍛冶の里に至急、医療者の派遣をしなければならないですね。」


「ちょっと待て。だけど、特効薬もねぇのに人を派遣したらそいつも罹っちまうんじゃねぇの?」


宇髄さんが心配そうな顔を向けてきたのはきっと私の覚悟に気付いたから。
私を心配してのことだとすぐ分かった。
こういう時目敏いのは相変わらずで苦笑いを返した。


「はい。そうです。普通なら罹ってしまう確率がかなり高いでしょう。」


「…じゃあ、無闇矢鱈に派遣も出来ねぇだろ。」


「宇髄さん、別に勝算もなく医療者を派遣するつもりはありません。特効薬は確かにないですが、ひとつだけ手立てがあるのでそれを提案しようと思ってます。」


「…勝算?」



未だに辛辣な表情を向けてくる宇髄さんを安心させようと必死に笑顔を作って向けるが、彼を安心させるには時期尚早のようだ。


私は産屋敷様に向き合うと彼に気になっていたことを聞いてみた。


「ところで、産屋敷様は母と長い付き合いだと仰っていましたが、決まった時期に毎年注射を受けていませんでしたか?年に二回ほど。」



これは確かに賭けだが、母であれば恐らく彼にもしていた筈だ。
あれほど感染症の脅威を私に言っていたのだから。里のみんな全員にしていたアレを。


「…ああ、そう言えば…確かに灯里さんは春と秋に必ず注射を打ってくれてたよ。それがどうかしたのかい?」


それを聞いた瞬間、私は拳を強く握りしめて顔を綻ばせた。
不幸中の幸いだ。彼が罹患する可能性がこれで限りなく低くなったのだから。


「はい。恐らくそれは母が作ったスペイン風邪の予防をする為の注射です。私も毎年必ず受けていました。母は特効薬こそ間に合いませんでしたが、罹患しないように予防する、若しくは万が一罹った時に重症化しないための治療法を確立していました。それが予防接種です。」


大丈夫。
大丈夫だよ。お母様。


お母様が教えてくれたことを全部使って私が治してみせるよ。

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