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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第26章 君の居ない時間※





「母と…私、ですか?」


「うん。まずはそこに置いてある書を読んで欲しいんだ。」


そう指を差したのは回廊に置かれた一冊の本?
日記帳のように見える。
目の前にいた宇髄さんが私を前に行かせるために立ち上がって避けて背中に手を添えてくれた。

急に変な緊張がしてきていたので、宇髄さんの存在は益々安定剤のよう。
彼と視線を合わせればコクンと頷いて"大丈夫だ"と言ってくれているようだった。

みんなの注目が集まる中、漸くおずおずと前に一歩踏み出すと産屋敷様が指定した書物のところまで向かう。


視線が痛い。
前からも後ろからも。
こんなに注目されてことなど人生で初かもしれない。

急に胃が痛くなってきた。


書物の目の前まで来ると産屋敷様に頭を下げて「拝見します」と一声かけて彼が頷くのを確認してからそれを開いた。



それは見たところ…


(…看護記録?)


明らかに誰かが看護をして、その状況を事細かく記したもの。
私はそれを一ページずつ捲っていく。



五月十日
酷い風邪の患者が運び込まれた。患者は自宅で二日前から風邪だったそうで悪化したようだ。
高熱、倦怠感、咳、関節痛があり、意識が朦朧としていたので解熱剤を投薬した。



酷い…風邪。
高熱、倦怠感、関節痛なら確かにそうだろう。
でも、意識が朦朧とするほどの酷い風邪か。



五月十一日
患者の容体が悪化した。
唇が紫色になり、酷い咳から血痰が出た。
熱も下がらないので解熱剤を再び投薬した。


血痰…?
それに唇が紫色になると言うのはチアノーゼが出ているということ。
体中に酸素が回っていないんだ。
と言うことは肺炎になっている可能性が高い。



五月十二日
患者が死亡





「…っ、え…?」



そんな、まさか…?
こんな早くに?
発症から五日だ。
たった五日で死に至る風邪なんて…そんなことある?



しかし、この日はまだ続きが書かれていた。



──患者と共に暮らしていた家族が次々と運ばれてきた。
全員同じ症状で酷い風邪のようだが、何か嫌な予感がする。



…この人も言っているけど、確かに嫌な予感がする。


五月十三日
家族が全員血痰が出て、再び解熱剤を投与したが病状は芳しくない。
唯一、子どもだけが症状が比較的軽いようで熱が下がってきた。


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