第26章 君の居ない時間※
「ちょ、え、う、宇髄さん?私たち伝令を聞き間違えましたかね?」
「いや?全く間違っちゃいねぇよ。」
間違っていないならばこの光景の意味を教えてほしい。そうでなければ柱全員が産屋敷邸へ集うなんて緊急事態案件に私が呼ばれることなど全くないはずだからだ。
「あら、ほの花ちゃんじゃない!!宇髄さんと一緒にどうしたの?あ!今日お館様のお薬の日だったのかしら?」
「み、蜜璃ちゃん…じゃない、恋柱様…。」
「え?やだぁー!!そんな呼び方寂しいわ!」
いや、そうは言われても今、"蜜璃ちゃん"と言えるような状況なのだろうか?
私は柱合会議に誤って参加したのだろうか?
宇髄さんは間違ってないと言うけど、鎹鴉の伝達内容が間違っていたとしか思えない。
「ほの花さんどうしたの?僕は会えて嬉しいけど。」
「霞柱様…」
「何だァ?宇髄が離れたくなくて連れてきたのかよ。」
「いくらなんでもそんなことするか!コイツも呼ばれたから連れてきたんだわ。」
「あら、ほの花さんも呼ばれたんですか?…ということは、今日は何のお話なんですかねぇ?」
「さぁな。兎に角、伝令通り連れてきただけで、コイツが勝手についてきたわけでも俺が連れてきたわけでもねぇよ。」
そう!それ!それだよ、宇髄さん!
それを言って欲しかった!!!
思わず、感動して宇髄さんの顔を見上げて熱い視線を送ってしまう。
それを言ってると言ってないのとではまるで私の居心地の良さが違う。
私の腰にある手を除いては…!
その手から逃れようとして少しずつジリジリと離れようとしても手が離れそうになると指で隊服を引っ張り再び腰をがっちり掴むのだ。
もちろん情交を行う前ほど熱烈なものではないが、温かい手が腰に感じているだけで気持ちは落ち着いてホッと出来るのだが、この場では恥ずかしいことこの上ないのだ。
でも、きっと宇髄さんは私を落ち着かせるためにこうやって隣にいてくれているに決まってるから離れようなんて思わず、此処にいた方がいいのだろう。
ひとつ息を吐くと諦めてその場に大人しく留まる。
そうすれば優しい笑顔でこちらを見下ろす宇髄さんと目が合った。