第25章 甘える勇気
「そうだ…!宇髄さんが帰りに甘味食べれるようにお金くれたんです。行きませんか?」
呉服屋さんに用が済んだので皆さんに誘ってみると物凄く可愛い顔を向けられて思わず私まで笑顔になってしまった。
「えー?!天元様ったら太っ腹ぁー!!行きます行きます!」
「本当、天元様優しいですね!」
「ほの花さんの前で良い顔したかったんですかね?ふふ。」
まきをさんの揶揄にどう言う反応をしたらいいか困り、言い訳を述べてみるがこう言う時に限って上手くいかないもので…
「私が頼んじゃったんです。帰りに皆さんとお茶したいって言ったらくれました。」
「やーっぱりほの花さんに頼まれたからじゃないですか〜!!」
「え、いや…その。」
結局は宇髄さんがケチみたいな感じになってしまったことがなんとも遣る瀬無い。
宇髄さんはちっともケチじゃないし、何なら豪快で男前な性格だと思う。私が上手に言えなくてケチ男にしてしまったことを心の中で深く謝る。
向かうのはいつものふたば屋さん。
私のお気に入りの甘味屋さんと言えば此処しかない。
もう此処以外の豆大福は食べれない!と言うほど大好きだし、他のメニューも大好き。
お店に到着すると「おや、ほの花ちゃん!」と店主の人が声をかけてくれた。
食べ放題企画の時もお世話になったけど、頻繁に顔を出す常連の私は最近おじさんと凄く仲良しになった。
「こんにちは!」
「こりゃ、随分とべっぴんさんを三人も連れてきてくれたね!ゆっくりして行って。」
案内された席に着席すると須磨さんが唐突に話しかけてきた。
「そういえば…ほの花さんは何を選んでいたんですかぁー?」
「え?まだ選んでないですよ。どうしようかなぁ…あんみつと…」
「違いますぅー!呉服屋さんで何か選んでましたよね?」
そう言ってにこやかに笑っている須磨さんだが、てっきり今のことかと思って頓珍漢な答えを伝えてしまった。
すると、雛鶴さんもまきをさんも興味津々と言った様子でこちらに注目が集まってしまって言葉に詰まってしまう。
まだ仕立て上がったわけじゃないから内緒にしていようと思ったけど彼女達には伝えても良いだろう。
私は三人に向き合うと言葉を選び出した。